虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
聖獣祭前篇 その08
さまざまな【見習い】系職業を経験し、一次職の就職までは済んでいる。
それ以降は条件を満たした職業しか就けていないが……まあ、最低限のことは可能だ。
それぞれの職業が異なる分野に長ける。
就いた者に擬似的に才能をもたらし、この魔物が蔓延る世界でもやっていけるようにしてくれるのだ。
「そう考えると、【救星者】の才ってどういうものなんだろうな。そもそも、世界の危機なんて普通ないし、そういうときは【英雄】とか【勇者】が頑張るものだし」
水に潜るので、準備体操をしながら暇潰しに相談してみる。
改めて考えることが多いので、ついこういうことにも疑問が浮かんでしまう。
「そもそも造語だよな、これ。これまでの人生で一度も聞いたことないぞ」
《そうですね。職業システムに使われる名称は、その大半が旦那様の世界にも通じる名称となっています。しかし、固有職と呼ばれる域に達すると造語が増えているようです》
「ショウの【剣星】、マイの【調律姫】、ルリの【神聖女】……『固有』って意味じゃ全然間違ってないけどな」
読み仮名通りの意味を持ったうえで、造語として使われた漢字の意味も持つ。
それ以外の言語だとどうなっているか不明だが、まあそれは置いておくとして。
「さて、今の俺にできることは全部やりました……『プログレス』も使いたかったけど、全然ダメだったな」
俺自身が『プログレス』を使うことはできないが、二通りの手段で擬似的にだが他者のモノを使うことができる。
その一つ、俺が持つ宝石型の装置──俺専用の『プログレス』に、他者のモノが持つすべての情報を書き込むというやり方を普段は使っているのだが……理解できなかった。
いつも『SEBAS』がやっていることだが、それは『SEBAS』だからできることであって……何をすればいいかまったく分からない凡人にはできなかった。
そしてもう一つの方法、『プログレス』の女神の力を借りるという方も、これまで使っていなかったので、今すぐやることができなかった……うん、これは反省である。
「そして『死天』謹製のアイテムは、こんな場所で使えないからもちろんアウト。あとはすでに製作済みのアイテムだけど……これもまあ、最適な選択ができないからなー」
最低限、俺でも必要だなぁと思えるアイテムだけは用意できるけども。
こういうところも、『SEBAS』頼りにしっぱなしだった部分だな。
──まあ、足りなければ補えばいい……とりあえず体操も終わったし、入りますか!
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