虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

竜の里 その04

月末御礼の連続更新です(10/12)
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 俺と『龍王』さんは、共に神竜の古巣が存在する小島に着陸した。
 存在する草木のすべてが、高レアリティのアイテムばかり……神竜効果が凄いな。

 そんな場所で大人の竜たちに挨拶をしながら、これからの予定を話し合う。
 これまでどういった方法で攻めてきたなども、改めて現場での声を把握しておいた。

「……彼女たちの力を、甘く見ていたのかもしれませんね」

「ええ、族長様の孫娘とはいえ、子供だと考えていた……ですがそれは、間違いだった」

「何度も言っておったじゃろうに。儂の孫娘は最高で、将来の『龍王』候補じゃと」

 いずれ、『超越者』の権能は引き継がれることになるだろう。
 才ある『龍王』の孫娘は、どうやら本当に優れているようだ。

 ただ、その継承ってどう行われるのかさっぱりなんだよな……。
 死を以って行われるのか、それともまた別の方法なのか皆目見当がつかない。

 唯一俺が知っている例である『錬金王』の継承も、どっちなのか微妙だし。
 ただ気になることが一つ……先代の方の権能、まだ残っているらしいんだよな。


 閑話休題どういうことか


 さて、問題の孫娘について。
 彼女は先祖返りというかだいぶ個として優れた存在らしく、独りでやっても無双できるうえ──統率個体でもあるらしい。

 要するに、従える竜の数が多ければ多いほど強化される。
 元から高いスペックが、現在は若い竜たちの統率者になることでさらに強化された。

 さすがに年季の入った『龍王』にはまだ勝てていないようだが、それでも並大抵の大人であれば容易く倒せるレベル。

 今はまだ、統率者として後方から指揮を執ることばかりらしいが……仲間がピンチになると颯爽と駆け付け、大人たちを薙ぎ払って回収していくらしい。

「このことについて、どうお考えですか?」

「ふむ……孫娘はあまり戦闘を好まぬ。もちろん力はあるが、それを振りかざすかどうかは別じゃろう?」

「なるほど、それはそうですね。であれば、そもそもこのような問題は起こさないように思えるのですが……」

「そこがまた、問題なんじゃよ。さて、儂にはその真意が分からぬ。『生者』、お主にはそれを突きとめてもらいたい」

 そう、俺が依頼されたのはこの諍いの仲裁と原因の究明。
 そして、同じことが起きないために何をすればいいかという策の草案。

「──さて、ここまでの情報を聞いて何か浮かんだか、『生者』よ?」

「まずは、互いの事情を聞かなければわかりませんよ。こちら側の話はある程度聞きましたので、今度は向こう側、ですね」

 まあつまり、そういうことだ。
 俺は教わった方向に向け、鞘に仕込んだ転移装置で移動を行うのだった。


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