虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
大量発生後日談 その08
月末御礼の連続更新です(04/12)
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仙郷
仙人たちが住まうこの場所を訪れたのは、俺がまだ情報を開示していない三つのアイテムの内、仙人関係っぽいアイテムが一つだけ確認されたからだ。
これまでは事前のアポなどを取ったうえで行動していたが、今は『プログレス』という連絡手段がある……何人かの仙人に連絡し、本日の入国は認められた。
「いつもと違って、いきなり街の中に来れるというのは……なんともまあ、ある意味成長したみたいで感慨深いな」
仙郷には転移用のゲートは無かった。
それは彼らが仙術を使えば、自然のある所に自在に転移できるからだ。
なので、わざわざ魔力を用いた転移技術は不要だった。
──そして交渉して、一つだけ俺専用の転移場所を用意してもらっている。
その行先は【仙王】が住まう宮殿内部。
まあ、俺が暴れた際に即座鎮圧ができるようにするためだろう。
しばらく待っていると、俺が来たことを察したのか使いがやって来る。
顔見知りなので、いつも通りのやり取りをすることに。
「お待ちしておりました」
「いつもありがとうございます──リーシーさん。ということで、こちらもいつもの品でございます」
「ありがとうございます!」
来てくれたうさ耳少女に人参を捧げ、改めて案内をしてもらう。
その先には玉座に座る退屈そうな少女と、それを咎めるムキムキな中華風イケメンが。
俺を見ると玉座から下りて、こちらに駆け寄ってくる少女──【仙王】。
単純に、面倒な状況から打開するためだろうな。
「『生者』、よく来てくれた! ほら、もう言ってやってよ! わざわざ座って謁見する必要なんて無いって!」
「必要だと思いますよ」
「だよね! 必要だって……え゛っ?」
「ですが、考えようですよ。【仙王】様も、自分にとって居心地の良い玉座であれば、長居したくなるでしょう?」
彼女はその才よりも、三度の昼寝を愛するような少女だ。
発現した『ゲートコネクター』も、その補助をするために役立っているようだし。
「それは……まあ」
「ですので、今回はそんな座り心地を良くするようなアイテムを持ってまいりました」
「本当! さすが『生者』だよ!」
少々咎めるような視線を『闘仙』さんがしているが、まあある意味当然だ。
けど、この話の流れでもしておいた方が、渡しづらいアイテムでもあった。
「こちらの品、クッションとしてよろしいと思ったのですが……いかがですか?」
「………………ねぇこれ、どこで?」
「伝手、と呼べるほどの物でもございませんが、偶然得まして。出土もその前の保有者も不明ですが、こちらに贈ることがもっとも適していると思いましてね」
それは、仙人のために存在していると言っても過言ではない代物。
だからこそ、この場に居る誰もが驚きどよめいているわけだ。
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仙郷
仙人たちが住まうこの場所を訪れたのは、俺がまだ情報を開示していない三つのアイテムの内、仙人関係っぽいアイテムが一つだけ確認されたからだ。
これまでは事前のアポなどを取ったうえで行動していたが、今は『プログレス』という連絡手段がある……何人かの仙人に連絡し、本日の入国は認められた。
「いつもと違って、いきなり街の中に来れるというのは……なんともまあ、ある意味成長したみたいで感慨深いな」
仙郷には転移用のゲートは無かった。
それは彼らが仙術を使えば、自然のある所に自在に転移できるからだ。
なので、わざわざ魔力を用いた転移技術は不要だった。
──そして交渉して、一つだけ俺専用の転移場所を用意してもらっている。
その行先は【仙王】が住まう宮殿内部。
まあ、俺が暴れた際に即座鎮圧ができるようにするためだろう。
しばらく待っていると、俺が来たことを察したのか使いがやって来る。
顔見知りなので、いつも通りのやり取りをすることに。
「お待ちしておりました」
「いつもありがとうございます──リーシーさん。ということで、こちらもいつもの品でございます」
「ありがとうございます!」
来てくれたうさ耳少女に人参を捧げ、改めて案内をしてもらう。
その先には玉座に座る退屈そうな少女と、それを咎めるムキムキな中華風イケメンが。
俺を見ると玉座から下りて、こちらに駆け寄ってくる少女──【仙王】。
単純に、面倒な状況から打開するためだろうな。
「『生者』、よく来てくれた! ほら、もう言ってやってよ! わざわざ座って謁見する必要なんて無いって!」
「必要だと思いますよ」
「だよね! 必要だって……え゛っ?」
「ですが、考えようですよ。【仙王】様も、自分にとって居心地の良い玉座であれば、長居したくなるでしょう?」
彼女はその才よりも、三度の昼寝を愛するような少女だ。
発現した『ゲートコネクター』も、その補助をするために役立っているようだし。
「それは……まあ」
「ですので、今回はそんな座り心地を良くするようなアイテムを持ってまいりました」
「本当! さすが『生者』だよ!」
少々咎めるような視線を『闘仙』さんがしているが、まあある意味当然だ。
けど、この話の流れでもしておいた方が、渡しづらいアイテムでもあった。
「こちらの品、クッションとしてよろしいと思ったのですが……いかがですか?」
「………………ねぇこれ、どこで?」
「伝手、と呼べるほどの物でもございませんが、偶然得まして。出土もその前の保有者も不明ですが、こちらに贈ることがもっとも適していると思いましてね」
それは、仙人のために存在していると言っても過言ではない代物。
だからこそ、この場に居る誰もが驚きどよめいているわけだ。
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