虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

大量発生後日談 その06

月末御礼の大量更新です(02/12)
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「残りは六つ。まあ、三つは別にいいさ。必要に応じて使えばいいし、誰かに貸した方がいいと思える物もある。使いどころがあるから、俺も普通に喜べる」

 そして、さらに減らして最後の三つ。
 広義の意味でその三つは同じジャンルに属するアイテムなのだが、これは他者に決して貸すことができない代物だった。

「……そもそも、なんでガチャで出てくるんだよ──このユニークアイテム」

 かつてショウが倒した『孤軍破狼』からドロップした、ショウだけが使えるアイテム。
 それはユニークモンスターから得たアイテムなので、ユニークアイテムと呼ばれる。

 てっきりその入手方法は、アイテムの起源となるユニーク種の討伐でのみ成し得るものだと思ったのだが……どうやら、それ以外の方法もあるようだ。

《これはかつての原人たちが、ユニーク種を討伐することで得たアイテムのようです。休人は死亡後も所有権を維持できますが、原人の場合は所有権が失われたアイテムが回収されているようです》

「……なるほど、だから前に言っていたように魔物の素体そのものなんじゃなくて、ソイツが生前に合わせたアイテムのまま俺の下に来たのか」

 一つはある意味俺でも使えるのだが、他はそこまでと言った感じだ。
 まあ、確認するために鑑定は済ませてあるが……俺には詳細が分からない。

「槌と懐中時計と錠前、槌は鍛冶に使う感じのヤツだからなんとなく分かるが、他のはどういう風に使うんだ?」

《槌には鍛冶補正が備わっています。ただし使用中、単眼であること……つまり片目で作業を行わなければ効果は発揮されません》

「俺は別にそれでも作業できるけど……普通は感覚が狂ったりするんじゃないか?」

《由来となった魔物が、どうやら単眼の巨人だったようです。それを鍛冶職が討伐したことで、このような形になったのかと》

 もしかしたらその鍛冶職も、何らかの理由で隻眼だったのかもしれないな。
 一度使ってみて、:DIY:の生成品とどちらが優れているか調べてみよう。

「今度はこの懐中時計、まあ装身具の枠だから別に問題ないけど。これには、どういう効果があるんだ?」

《起動後、旦那様の影が特殊な結界を生成。その影が一度でも通った場所に足を踏み入れた者、また旦那様自身が対象の影を踏むことでドレイン効果を発生させます》

「影踏み……まあ、アイテムの名前通りの効果だな。それで、ドレインはするだけして終わりなのか?」

《現在はそのようです。しかし、旦那様が条件を満たすことで新たな能力を発現させることができるようです》

 まだ成長できるアイテム、そして条件は不明と来た……うん、こういうのってぜひとも覚醒させたくなるよな。

 ──さて、最後の一つを確認だ。


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