虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

大量発生イベント その18



 少し時間を空けて、再び武闘大会が幕を開いた。
 準決勝は一組ずつ、じっくりと観戦できるようになっている。

「ん? アレが生産者か……うんまあ、なんとなく察しは付いていたけどな」

「やっぱりか? お前の息子なのに言っていいか分からないけど、物凄くモテるよな」

「……どういう意味なのか聞きたいけど、まあ俺自身もそれは思うから別にいいぞ」

 ショウの隣に付き添うのは、オーバーオールを着こなす少女。
 少々髪で顔が隠れているが……その下はどうせ、美少女なんだろう。

「あの娘は……って、聞く気あるか?」

「無いな。たぶん、ショウの口からいずれ話してくれるだろうから。フライングで知っていると、その反応で俺がここに来ていたことまでバレそうだ」

「……はいはい。まあ、大手のクランと賭けで勝負しているとだけ思っておけ」

「あー、道理でショウがあからさまに狙われていたわけだ。てっきり、普段の様子でイラついていた奴らに襲われていたのかと」

 それもそれで、ありえそうなのがショウクオリティだからな。
 事実、ショウから聞いていた特徴を持った美少女たちが嫉妬の視線を向けている。

 準決勝以降、舞台に上がる参加者と共に居られるのは生産者だけなのだ。
 たとえパーティーメンバーであろうと、立ち入り禁止になっているらしい。

「そういえば、ショウは剣じゃなくて指輪型のアイテムなんだよな。それが何でなのか、そこは分からないか?」

「それに関しては、むしろお前が一番よく分かると思うんだが……ショウは、お前の剣を大切にしてるんだよ」

「うぅ……シ゛ョウ゛ぉおおお!」

「今のどうやって発音したんだよ……」

 例の魔道具で音も遮ってあるので、これが伝わることは無い。
 俺のあげた剣を大切にしてくれていたなんて……うぅ、本当に親孝行ができる子だな!

「……単純に、お前が作った剣以上の武器が見つからないだけだと思うけどな。アレで慣れちゃっている以上、他の武器なんて考えられないだろう。あと、単純にあの娘は細工師なんだよ」

「──ぉおおおおおおお!」

「聞いてないな。ほら、さっさと気を取り直せ。そろそろ試合が始まるぞ。せっかくの息子の試合、観れなくていいのか?」

「そ、そうだった!」

 ショウの相手は……銃使いみたいだ。
 弾丸がスライム由来の素材で作られているようで、特殊な状態異常を引き起こしたりするらしい(byアナウンス)。

 なお、ショウが装備している腕輪は、逆に状態異常への耐性が付与されている。
 二人やパーティーメンバーが頑張ったからか、全状態異常への耐性が付いていた。

 そんなこんなで、そんな二人で準決勝を戦うようだ……ショウが勝つことは決まっているが、どういう風に勝つのか見物だな。


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