虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
大量発生イベント その17
というわけで、バトルロイヤルで準決勝へ進む者を選ぶ戦いが始まった。
マイの時と同様、結界で俺とタクマの姿を隠したうえで見守ることに。
ちなみにルリはVIP席でドキドキハラハラしている……テンションが上がると、騎士の方々に抑えてもらっているようだ。
「それ以外の装備は、指定された装備じゃないとダメなんだっけか?」
「そりゃあ、初心者と熟練者で同等の装備なわけじゃないからな。能力値補正とか装備スキルなんかがあるから、それを抑えないといけないしな……特にお前のなんか、そういうのが盛りだくさんだろう?」
「俺の創るアイテムは、基本的に特殊な装備スキルなんかは付かないぞ。そういうのは魔物由来の素材だから付くんだが、俺が使うのは主に天然素材。加工物があんまりない分、そういうスキルは付きにくい」
前にショウがユニーク種を討伐したが、特典の中には素材をドロップする場合がある。
それを使ってアイテムを作ると、ユニーク種由来の能力を引き継ぐことが多いらしい。
それと同じように、魔物由来の素材でそれに関する能力を持ったアイテムになる場合がある……まあ、今回の調味料でそれに関する耐性が付いたりするのと同じ感じだ。
「よく出るのは自動修復、破損回復……それに、物理耐性とか魔力耐性とかが『・高』ぐらいで出るかな」
「……それが普段通りって言いたいなら、お前は生産者の九割ぐらいを廃業に追い込めそうだな」
「だから、魔物素材で作る奴らと別ってことにできるんだろう? それに、俺のアイテムは基本的に防御以外の装備補正が入らないからな……ネタアイテムならスキルも付けてあるけど、それ以外は使い物にならんぞ」
「まあ、それなら……いや、お前のヤツってポーションとかも異常だったな」
結局、この話に終わりなんてない。
俺は今やっているアイテムの販売は止めないし、家族以外の注文は基本的に受け付ける予定は無いからな。
まあ、『辻斬』の時と同じように、状況が状況であれば周囲への影響は構わずに手を出すつもりだが……あの時は思いっきり、ぎゃふんと言わせたかった。
「──なんて会話をしてたら、いつの間にやらバトルロイヤルが終わってた。おい、どうしてくれるんだ」
「……どうせお前のことだから、何らかの方法で映像を確保してあるんだろ? あとで俺にも寄越せ。それに、そもそも一度として俺と目を合わせなかった奴が言う台詞じゃねぇからな」
バトルロイヤルはいろんな場所で戦う休人たちを映し出していたため、ショウだけが映るというわけでもなかった。
なので俺はドローンの映像を片方の目で視続けて、もう片方で本来の中継映像を見ながらタクマと会話をしていたのだ。
──何はともあれ準決勝進出。
さて、誰がショウのパートナーなんだ。
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