虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
大量発生イベント その06
さまざまな調味料をドロップしてくれたスライムに感謝し、実験を行った。
見た目はただの調味料ではあるが、ファンタジーの代物でもある。
「うん、まあ一番使いやすいのは料理に使う場合だな。これは当然だからいいんだが……いろんな使い道があるのか」
試してみたところ、料理に使えば通常よりも高いバフが付く結果が出た。
なお、そのまま口にしてもそれなりのバフが付いたぞ。
それぞれの調味料ごとに、異なるバフが付与される。
塩なら浄化や対アンデッド系の耐性、色のある調味料は属性関係のものだったな。
そして、それ以外の使い方──生産時に混ぜることでも効果を発揮した。
ケチャップを塗ったり、醤油ポーションを製作したり……うん、いろいろやったよ。
「そのタイミングが、調味料ごとに違ったりそもそも使えないのは驚きだけどな。うん、全部に使えるオールマイティと特化型に分かれているみたいだな」
塩やソース(魔力全般への補正・小)などは使いやすいが、砂糖(精神耐性・小)や醤油(状態異常回復・小)などは一部のモノでしか生産に生かすことができなかった。
「調味料としての使いやすさと比例しているわけじゃないんだよな……カレー粉と焼き肉のタレはほぼ料理限定だったし」
二つに関しては、ギリギリ食べ物の範囲に含まれる調薬と錬金による飲食系アイテム製作ぐらいでしか使えなかったからな。
ただ、その代わりの効果は絶大だ。
食欲増進(満腹度拡張)や肉体性能の強化(身体強化、耐性強化、自然回復向上・小)など盛りだくさんだったからな。
……まあ、試すために何度も何度も複製をする必要があったけど。
複製に必要な魔力がそれなりに必要だったのは、相応の価値があったからかもな。
「作れるアイテムはネタアイテムばっかりだけどな……醤油の匂いがする剣、斬った傷が鼈甲飴みたいにコーティングされるとか。後者は後者で、使い道がありそうだけど」
流血を抑えるという意味では、意外と使えそうである。
ついでに言うと、砂糖の効果も纏うため攻撃時は相手の精神耐性を削ることが可能だ。
他にもいろんなアイテムを作って気づいたのは、調味料は一種類しか使えないこと。
味付けの場合は複数使えるが、味だけでそれぞれのバフ効果は失われてしまう。
「仮に料理大会があった場合、求められるのは純粋な味だけってことだな。どこかの金持ちがとにかく高い調味料をふんだんに使って無双する……なんてプレイはできないか」
まあとにかく、これで調味料に関する研究は終わりにしよう。
一度、初期地点に戻ってイベントについて調べてみようか。
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