虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
大量発生イベント その02
エルフの隠れ里
まあ、困ったときはまずここだ。
タクマから、大量発生自体は一定周期で起きていることは確認済み。
ならば長命種であるエルフに聞けば、何かしらいい情報が入るという考えだ。
……だいぶ浅はかではあるが、俺自身で考え付くのはこれが限界である。
訪れたエルフの隠れ里で、俺は一番偉い人である族長(兄)に会っていた。
事情を説明すると、すぐに理解して情報を教えてくれる。
「君たちがこの時期に訪れることは、ある程度予測していたよ。互いに利益のある話だ、大抵の隠れ里で君たちを歓迎するだろう」
「それはよかった。私とて、彼らとの関係を独占したいわけではありませんので。体が一つしかない以上、皆さんの場所すべてでお手伝いをすることはできませんし」
大量発生はどうやら、各隠れ里でも手を焼いている自体らしい。
なので、休人を受け入れる条件をある程度緩和する……そんな話があるんだとか。
俺の場合は生産と商人プレイのコネで潜り込んでいったが、今回は討伐量などの貢献度で友好度を稼げるのだろう。
「今回の魔物はスライムだったね。アレは、厄介な魔物だよね。特に、数が多い時はかなり面倒になる」
「……合体でしたか? たしかに、必要数が揃いやすくなる大量発生において、これほど厄介な魔物はいませんでしたね」
某大人気RPGのスライム同様、EHOのスライムにも合体機能が存在する。
少し違うのは、合体すればするほど厄介な性質が追加されていく点。
再生能力や物理・魔力問わず威力減衰、他にもその個体の性質に合わせた能力強化などが発揮されるんだとか。
まあ、今回の場合は調味料っぽい強さが発揮されるだろう。
……色んな意味で、五感がイジメられる魔物になりそうだ。
「こちらでは、どういった対策を?」
「弟と狩人たちで、一定数を超えないように間引いているよ。ただ、核を破壊するのが難しいからね。精霊魔法を使って、遠くからやるのが精いっぱいだよ」
「なるほど……それでは、ドロップ品を回収するのは難しそうですね」
休人の自動ドロップならともかく、他の者たちは自分で剥がなければならない。
今回のスライムは、体自体が調味料なのでそれを集めないといけないのにな。
「そこでだ、何か方法は無いかな?」
「……と、申されますと?」
「希少なスライムが、希少な調味料を落としてくれるんだ。せっかくだし、少しぐらい欲張ってもいいだろう? 私たちで行える方法で、何かやり方は無いかな?」
要は大量発生で駆除が大変なスライムを相手に、アイテムを回収する方法があればいいわけで……うん、今回は特に売れそうだな。
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