虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
発生イベント 前篇
「──というわけで、ジンリに会った」
「……アイツか。それで、お前は結局どうするんだ?」
「どうするもこうするも、『渡り船』はもう終わりだ。EHOを安住の地として、もう船は停泊した……そういう感じじゃないか?」
「詩的な表現だな。まあ、でもそうだな……現状、ここ以上のVRMMOって未だに開発されてないんだよ」
VRゲームとして登場したEHOだが、同じVR機を使ったゲームがいくつか出てた。
しかしそれらの評価は、EHOよりもシステム周りで優っているという話は聞かない。
「まあ、ここで使ってるAIはだいぶレベルが高いってもっぱらの噂だからな。もしかしたら、人を支配するとかそういうことができるレベルかもな」
「……あー、そりゃあ凄いな」
うちの『SEBAS』もそんなレベルだから、そう否定しづらいな。
いつEHOから飛び出し、こっちの世界に現出するかってぐらいの進歩っぷりだし。
「そういえば、そっちには話とか持ちかけに来ていたのか?」
「ん? まあ、来たぞ。けどまあ、俺の情報業はちゃんと個人情報を守るからな。お前は俺のお得意さんだし、まだ情報量がだいぶ溜まってんだよな……『プログレス』関係は特にだぞ」
「ご贔屓によろしくな。そっちの方で整理してくれると、より情報を励みたくなる気がするな……」
「くそっ、人の弱みに付け込みやがって」
情報屋として優秀なタクマなので、それなりに収入は得ている。
しかし、特殊な情報を集めるのが下手というか……あんまり集められないんだよな。
代わりにコイツは、その特殊な情報を持つ奴から情報を得るのが上手い。
その結果、最終的には凄い情報を集めている情報屋になるんだよな。
「ああそうだ、ならこの情報で少しサービスしてくれよ──新イベントについて」
「……もうそんな時期なのか?」
「お前は忙しそうだったからな、マラソンから、東奔西走で……最近じゃ、ジンリがだいぶ派手にやったってのも、そういえばちゃんと回ってきたな。非公式だったから、仮にしてたんだけど」
「あの完璧主義……みたいな奴だしな。俺が想定外の方法で逃亡したから、それを特定するまではあんまり派手に流布するつもりは無いんだろう」
ジンリがどうこう言っても、結局イベントでも始まれば再会するだろう。
同時に、指名手配犯として俺が追われることも確定してしまっているけども。
……とりあえず、今回のイベントがどういう内容なのかタクマに訊いて、それからのことはそれから考えればいいさ。
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