虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
目的探し その18
E7
あれからずっと、『ビギナーソード』を使い続けていた。
やはり『バトルラーニング』を使えば、俺は無限に戦い続けられる。
正確には、使わなくともその場に残り続けることはできるんだけども。
だが今はしっかりと戦闘を行い、魔物たちに刃を振るっていた。
「ふぅ……武器を変えるか?」
とはいえ、特に印象に残った少年の剣以外に、最適な心当たりは無いんだが……。
うちの家族は、武器系の『プログレス』は誰も発現させていないんだよな。
「こういうときは、プログレスの権能を少し借りて──オープン」
同名の女神プログレスは、『プログレス』すべてを束ねる存在。
彼女の権能によって、俺は現存するありとあらゆる『プログレス』を把握可能だ。
……『SEBAS』も同様に、それは知っているわけだが。
彼女がシステム的に、『SEBAS』は中枢と接続して把握しているぞ。
「うーん、武器型に絞って検索して……これにしようか──『スワローアロー』」
和弓型の『プログレス』が展開される。
いくつか弓型の『プログレス』はあるが、使い勝手のいい物を選んでみた。
矢はすでに製作済みで、今回は光子加工技術で作った矢筒を同時に使用する。
無尽蔵に矢を確保できるので、かなり便利である……使える奴が少ないけど。
「あとは、光子に触れるようにこの手袋を嵌めて……っと。剣とかなら持ち手を加工すればいいけど、これだけはな……」
魔力は半物質化できるので同じことを簡単にできるが、光子の場合はそうもいかずにこうして別途の素材が必要になった。
ちなみにいくつか方法はあるが、一番簡単なのは闇属性による干渉だ。
光の対はやっぱり闇、そういう考え方によるものだと推測していたっけ。
「まあ、ともかくやってみますか」
戦闘データの中には弓使いの者も存在するので、握った和弓もすぐに使いこなせる。
矢筒から取った矢を構えると、遠くに反応があった魔物に向けて放つ。
確認は[ログ]で可能なので調べると、クリティカルや不意打ち、先制攻撃のボーナスで即死させていた。
矢のイイところは、こうして一方的かつ遠距離から攻撃できるところだ。
銃も便利ではあるが、不発する可能性が低いのは、やはり手動の多いこちらだろう。
「このままボスに挑むのは愚策だろうな……けどまあ、それでやった方がちょうどいい幕引きになるのかな?」
最後に少しばかり、やりたいことを見つけることができた。
すでにこの先の目的は見つけているし、そろそろ綺麗な終わりを飾ろうじゃないか。
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