虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
対プログレス 後篇
というわけで、『騎士王』任せでいろいろと配備してもらった。
さすがというかなんというか、すぐにそれらは実行されたらしい。
「いったい、どのようにしてあのような代物が出来上がるのやら」
「普通に蘇生薬とか万能薬を出すと、どこからか難癖が入るのは分かっているからな。報酬はシンプルに、一度だけ致死攻撃を無効化する……という効果を一日ごとに発揮できるアクセサリーにしてみただけだが?」
「……消耗品としては確立しているが、それも迷宮や魔物からのドロップに限る。それを『生者』、お前というヤツは……」
今回、『超越者』にも声を掛けて他の奴を助けてもらうことにした。
だが、どいつもこいつも問題児、並大抵の交渉じゃ受け入れてくれなかったそうだ。
なので今回、彼らに『再蘇の天鱗』という魔道具を配ることにした。
効果は『騎士王』が語った通り、一日一回限定での致死攻撃無効化である。
アクセサリーなのでその枠を使う必要があるが、それでも貴重な効果付きだ。
大半の『超越者』はそれを受け取り、期間限定ではあるが協力することを誓った。
「しかしまあ、これが要らないっていう奴が居ることの方が驚きだな」
「そういう在り方を望んでいる、他にも死が前提の能力を有しているなど、いくつか理由はあるな……『生者』、お前のように」
「……俺のことは良いんだよ。それで、実際に上手くいっているのか?」
「情報網に働きかけて、『超越者』たちが反撃することを伝えておいた。狩る気でいるならば、狩られる覚悟を持てと……すると、途端に数が減ったようだ。実際に狩れたという証拠を、広めたことも理由だがな」
優しい表現みたいだが、要するに全力で潰して晒し者にしたみたいだな。
誰がやったかは知らないが……うん、大半の『超越者』に容赦なんてない。
たとえ『薬毒』であろうと、本気を出せば敵対者を嬲り殺しにできる。
あの人……やらないだけで、邪魔をするならとことんやりそうな気がするんだよな。
「『プログレス』の成長速度は、正直未知数なんだよな。例えば『騎士王』、お前に憧れて潰されて、それでも渇望すれば……お前専用のアンチ能力になると思う」
「だが、それでは私は倒せん」
「だろうな。でも、そのやり方は紡がれていくからな。『プログレス』に継承機能は用意していないが、いずれ『超越者』を殺し得る術ができるかもしれないな」
ある意味その先を、俺は望んでいるんだけども……絶対の平和を築くために、厄介な存在すべてを薙ぎ払えるだけの力が必要だ。
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