虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ラグナロク その06
武神たちの動きはなかなかに参考になる。
しかしながら俺の目線からすると、何がどうなっているのかさっぱりだ。
それでも『バトルラーニング』はしっかりと作動し、『SEBAS』と共に彼らの高い戦闘能力を糧として成長していく。
だが俺は、それとは異なるモノを視て興味津々になっていた。
それは戦う神族たちが使用している、多種多様なアイテムの数々。
「神器か。紛い物ではない、本物はやっぱり性能がいいなぁ」
ある意味、俺が:DIY:を使用中に製作した物はすべて神器だ。
本来のモノからだいぶ劣化しているとはいえ、その権能は創造神のモノだからな。
上手くいけばそれなりの神器を、実際に生みだしたことがある。
しかし、やはり本物の神器にはそれとは一線を駕す存在感のようなものが。
《神器とはその神を現す象徴。正しくは、神の威を世に広めるための存在です》
「どういうことだ?」
《彼らは己自身で用いておりますが、旦那様も知っての通り神器を人の手に授けるという行いがございます。それは神の力を人の手により広め、格を高めるためなのです》
「方向性はともかく、創造神様がやっていることと同じなわけだ」
俺に:DIY:を授け、『プログレス』のブラックボックス化にも協力してくれた。
それは創造神にとっても、意味があることだから──つまり、それでも格が上がる。
「神器とは本来、破壊不可能な品。神殺しが無ければ砕かれないし、神が創った物ならその神に関する能力が使える。俺のヤツにそういう能力が無いのは、単純に神の力を収める器でしか無いからだな」
《破壊不可という点では同じですが、特殊な能力が欠けているという点に関しては、旦那様の推察通りとなります。ただし、加護でなくとも、神器の使用者の偉業を形にして保存する場合もございます》
「うーん……宝具ってことか?」
《認識としてはそれで問題ございません。どのような形であれ、大衆が神器と共に使用者の偉業を認識すること、神器を振るい偉業を成し続けることで体現が可能となります》
ちなみに俺の偉業は、まだアイプスルの開拓を行ったことだけらしい。
冒険世界での活躍は、あくまで『生者』が成し得たこと……つまり死神の御業だな。
「──さて、そろそろいいか」
《学習率80%。以降は戦闘における、旦那様の動きを考慮したうえで把握いたします》
「そろそろ俺も暴れたくなってきていたからな。[アライバー]越しだから、死ぬことは無いし……ちょっと強気に行くか」
その視線の先には、学習対象にしていた神族が……うん、試してみよう。
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