虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
ラグナロク その03
さて、ラグナロクだが、意外と運動会っぽいノリでやっているらしい。
放送委員っぽい人たちもいるうえ、先ほどは各代表者が宣誓をしたりもしていた。
「そして今は体操か……なんでラジオ?」
「貴方と同じ、星渡りの、民が、以前教えてくれたそうです」
「まあ、意味のある体操だから、やっておいた方が、いいとは思うけどさ」
日本人の俺からすると、子どもではなく老若男女がファンタジーな格好で体操をしている姿は、どうにも違和感を覚えざるを得ないというか……うん、異様だ。
巨人も霊体も神様も、関係なく同じことをやるというのはなかなか無いだろう。
さっきの宣誓でスポーツマンシップには則らないことが、分かっているからな。
ラジオ代わりに演奏をしていた楽団の手が止まり、第二まで続いた体操は終了。
これからラグナロクは本格的に始まり、激しい闘争が繰り広げられる。
「あれ? そういえば、ルールを何にも聞いてない気が……」
「そういえばそうでした。貴方は今回が初めてでしたね。基本、参加するメンバーが変わらないので、もうその時間も無駄と考えられるようになったのです」
「……体操をする暇はあるのにな」
「それに関しては、実際に効果があるので問題ないとのことです。ルールですが、この後広げられるコロシアム内、そしてその一定の高さと低さまでが舞台となり、そこから参加者を退場させれば勝利となります」
空を飛んだり地面に潜ったり、そういうことをする奴もいるから、戦闘フィールドは球体の結界みたいな物なんだとか。
時間は無制限、実際のラグナロクのように死ぬことは無いが、それでも一度死を経験することが終わりとして相応しいという判断から、退場は死によってのみ許されるそうだ。
「貴方の場合は私の死が、そのまま退場に繋がります。それまでは何度死んでも構わないそうですので、問題ありません」
「俺を守ってくれるってことか?」
「まさか。仮とはいえヴァルハラからの参加者たるもの、しっかりと戦ってください。それともなんですか、逆に貴方が私を命懸けで守ってくださるのでしょうか?」
「さっき言った『プログレス』の能力もあるし、そのつもりだ。俺は武人ってわけじゃないから、戦いに貢献できるわけじゃない。なら、できる奴に任せた方がいいだろう。契約してるんだ、期待しているぞ」
カッコイイ台詞は言えないが、まあ最終的に仕事をしていればいい。
これまでも、ランダムで選んだ結果に身を委ねてきたのだ──どんな支援も可能だ。
アインヒルドは嘆息しているが……うん、なかなか信じてもらえないな。
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