虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
プログレス配布後篇 その08
かつての山人の隠れ里を見て、俺は素直に驚いた。
彼らの飽くなき探究心は、文明レベルを何段階も引き上げていたからだ。
彼らの生産技術は主に、スキルや魔力を用いてのモノだ。
特に火の精霊や土の精霊といった存在と交信し、色んな品を作り上げていた。
その状態でも洞窟に引き籠もることができるレベルの技術力だったし、滞在している間不自由は感じなかった……ファンタジー技術がある分、ホテルぐらいには便利だったな。
そして俺が訪れたことで、その技術に新たな発想が加わった。
具体的にはアプローチの追加、魔力に頼らない地球の技術を取り込んだ。
そのうえで、魔力の方が便利だと思う物を再構築していた。
前に造っていた鉄道も、エネルギーは精霊という環境に優しいものになっていたし。
彼らがそれによって得たのは、既存の常識だけでは考えられない現象への対応。
中途半端だった、見たモノしか理解できなかった科学技術なども習得している。
刀の作り方も覚えており、魔力に頼らない山人の腕だけで作ることも考えた。
そうしていろいろとやって……その時点ですでに、地球の文明は超えていたのだ。
□ ◆ □ ◆ □
「──そして『プログレス』がもたらしたのは、彼らの理想を体現するための道具。生まれつきの才能、既知に囚われない柔軟な思考に続き、それが手に入ったことで何でもできる山人になったわけだ」
まず目についたのは、宙に浮かぶ巨大な物体……周りには何も存在せず、それ単体が宙に浮かんでいた。
《反重力システムのようですね。重力操作系能力を解析して、装置と化したのでしょう》
「『SEBAS』の補助なしで、よくぞまあできたって賞賛するべきか?」
すべてを知ったうえで行える俺たちと違って、山人たちは『プログレス』を一から学びその技術を体系化した。
おそらく解析系の能力保持者が調べ尽くして、なんとかしたのだろう。
能力も発動後であれば、調べられるから不可能ではない。
「入り口でまずあれに驚かされたけど……上にもっと凄い物があるな」
《人工太陽ですか……太陽の体現は能力としてまだ存在していない以上、まったく異なるものから創り上げたのでしょう》
空に輝く温かな光。
体を焦がすその熱は、間違いなく太陽。
しかしここは洞窟の中……天井に穴が空いていない以上、それは偽りの物だ。
「他には……物凄い量のパイプか。いったい何をこの場所に届けているんだ?」
《各色ごとに魔力、精霊、地脈の力を伝達しているようです。こちらも能力を介することで、周囲の環境に影響が無い程度に抑えているようです》
「何でもありだな、おい。一種の理想郷になりかけてないか?」
いったい何がどうなったら、こんなことができるのか……。
とりあえずまあ、ここの代表者に調査することにしよう。
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