虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
プログレス配布後篇 その04
イベント世界
関わるのがだいぶ早かったのに、全然訪れていなかったこの世界。
なぜなら、イピリアの一件で一度来ていたので……というのもある。
だが、それより何より、配る相手が多すぎるのだ。
イベント中、そしてイベント後も伝手を通じて外交を続けていたからな。
「あんまり来ないでほしいって言われている場所は、ドローン経由でいいか」
万能の生産スキルである:DIY:。
それによって結んだ関係は多く、そしてつながりがそれだけの者たちも……。
まあ、少しずつ縮まっているとは思うが、人族嫌悪の種族も混じっていたからな。
限定的に認められているが……対面で、直接会って配るのは配慮して控えておく。
「遊びに来てほしいって言われてた種族だけピックアップして、残るのは……四つだな」
少ないと思われそうだが仕方がない。
だが、もともとイベント世界は純粋な普人族が存在しない世界……もともと、好感度が上がりづらい環境なのだろう。
実際、まだ侵入を拒絶される場所もあるので、それはたしかなこと。
いつか全種族と対話できるようになれば、何かがあるのかもな。
「森人、山人。そして……さてさて、さっそく行くとしようか」
向かう四つの種族が住まう隠れ里には、それぞれ転位装置を置いてもらっている。
座標設定をせずとも、鞘に目的地を言うだけで転位できる……信頼されている証だな。
◆ □ ◆ □ ◆
森人の隠れ里
里を訪れた俺を、老若男女問わず関係してくれた……彼らにとって俺は、とても都合のいい人間だからな。
すでに二種族の場所を訪れ、残ったもう二種族の下へ転移で向かっていた。
まずは天然の迷宮になっている霧の森、その中に存在する森人たちの隠れ里へ。
「……結界解除っと」
その瞬間、子供たちが一気に魔力でできた球体をぶつけてくる。
俺はそれを受け入れ──何度も何度も死に続けた。
ひたすら受け続けること一分。
けたたましいタイマーが鳴り響き、それと同時に子供たちは攻撃を中断する。
「──はい、お仕舞です。では、次のグループお願いします……そうですね、それぞれ得意な属性の魔法でお願いします。周りはしっかりと防御しておきますので、最大火力だと好ましいです」
「分かりました」
代表者が応え、俺は再度タイマーを起動。
先ほどまでの魔法が、文字通り児戯に思えるほどの大火力で殺され続ける。
そして、死を対価に得るのは大量のアイテム……『死天』謹製の品々。
瞬時に[ストレージ]に移動するが、その流れは[ログ]で確認できる。
「しかしまあ、『プログレス』の影響で強くなっているな。森人は魔法か弓に関する能力が発現しやすいみたいだし」
《若い森人たちにとっては、この森こそがすべて。発現する能力も、それに準じたものとなるのでしょう》
なんて会話をしながら、再びタイマーが鳴るのを待つ。
殺伐としたレベリング……うん、傍から見たら猟奇的だよな。
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