虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
支配者会談 その13
「……封印か」
「ええ、壊してしまっては何度でも用意されてしまう。ならば、こうして閉じ込めてしまえば……こうなるわけです」
箱の名は『蔽塞の小箱』。
かつてレムリア世界において、強者を封印するために用いられた品である。
解除方法が死だけというピーキーな箱で、それ以外は俺がどうにかしないといけない。
今回の場合、解除には持ち主の【情報王】が死なないといけないわけで……。
「この戦いが終わるまで、解放されることはないと思ってくださいね」
「……お前は俺の天敵だ。どれだけ手管を暴こうと、それ以上の手札を伏せている。視ることのできる情報は、本来雑魚のもの。しかし、それでもこの場に立っている」
「偶然ですよ……ええ、それこそ【情報王】さんの執念には敵いませんよ」
神代魔道具の中に居るというのに、外の世界である冒険世界のことまできっちりと調べ上げている。
秘境はともかく、休人の居る場所でやったことに関してはすべて収集されていた。
休人しか居なかったはずの、イベントにまで……本当に、とことん集めている。
「貴方の職業【情報王】は、敵を知り己を知る職業です。知れば知るほど相手の優位に立ち、知り得る情報の中から勝つための最適解が用意される。何よりも恐ろしいのは──不完全な情報による再現」
「……どこまで知っている」
「私と貴方は、ある意味似ています。他者の力を見て学び、そのうえで個を主張する。情報による力を得て、己のモノとして使う……ほら、似ているでしょう?」
能力名は“情報再現”。
既知の情報であれば対価を支払うことで、ありとあらゆる事象を再現可能なこの能力。
とはいえ、決して完璧なものではない。
どれだけ再現性が高くとも、それを使う本人が耐えられなければ本人と同等になることは決してありえないからだ。
「だからこそ、足りないモノをまた別の要素で補っているんですよね? たとえば体が追い付かない『拳王』の動きであれば、魔力による身体強化。その魔力が足りないのであれば、また別の存在を……と頑張りますね」
「…………。情報さえあれば、人はどこまでも強くなれる。武器、スキル、技術、文化、敵対者の行動パターン……それらすべてが、これまでの過去から紡がれてきた」
「そうですね、そして忌避される情報はすべて封じられます。貴方の行いは、危険すぎるのです。さて、互いに情報はある程度集めています。そろそろ展開してある目玉は、処理が終わります──死んでもらいましょう」
「チッ、いいだろう──“情報再現”」
ついに切り札を使う【情報王】。
俺もまた、『SEBAS』に命じて結界を動かして再現を行う。
「「──『騎士王』」」
うん、俺も【情報王】も求める最強の形は同じなのである。
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