虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
霊子変換室 その02
霊子変換室
英雄様たちに入り口の防衛を任せ、俺だけがこの空間を訪れる。
本来適性が無い者がこの地に足を踏み入れると、強制的に排出されてしまう。
だが休人は、ログインした時点でその条件が満たされた状態だ。
それを何らかの方法で知った【情報王】だからこそ、今回の依頼が行われた。
「これかな──『プログレス:ペルソナマスク』を起動──“アナザーフェイス”」
すべての使用者が起動した能力を、俺は管理者権限を用いて使うことができる。
相応の徒労があったのだ、これくらいは仕込んでいて当然だと思う。
今回起動したのは、『プログレス』をも偽ることができる能力。
これまでの魔道具による偽装だと、そこまで隠すことができないからな。
「あとはこれで容姿を少しだけ弄って、認識齟齬を起こすようにしておけば……どうなっている?」
《問題ありません。旦那様が設定した人物以外に、旦那様をツクル様と認識することはできません。問題は、より高位の看破系能力の持ち主が現れた場合ですが……》
「そっちは魔道具の効果で抑えられるから、問題ないな。それより、外の様子はどうなっているんだ?」
《すでに交戦が始まっている模様。間もなくこちらにも、休人が訪れるはずです》
霊子変換室の内部は、少しだけ冒険世界とは異なる法則が働いている。
擬似的な星の理なのだが、それこそがこの世界の人々の入室が制限される理由。
それに馴染むまで、彼らは俺の居る場所までは来られないはず。
なのでその間に、準備をしておくのが最適解だろう。
「──『星域』を起動しろ。“精辰星意”を使って、デバフを基本と思わせる」
《畏まりました──『星域』を起動します》
「あとは“職業系統樹”で、俺自身の方を強化しておくぐらいか……[アライバー]を使うのはアレだし、せめてユニーク種のドロップ品があれば恰好が付いたんだがな」
どうやらアイプスルの迷宮の中では、大量のユニーク種が生みだされているらしい。
しかし『SEBAS』が止めるので、何かあると確信してそのままにしている。
……何でも、ユニーク種の先が存在するらしいんだよな。
「無いもの強請りは仕方がない。今できることだけ、やっていこうか。『SEBAS』、職業設定を『攻撃』にしてくれ」
《仰せの通りに》
一気に“職業系統樹”の設定を変更してもらうと、体に力が入る感覚が。
かなり“職業強化”を使って、無数の職業スキルを使えるようにしたからな。
「これである程度、戦うことができる……あとは、アレを用意するだけだな」
そうして準備をして数十分──休人たちがこの場所に現れた。
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