虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
プログレス配布中篇 その11
豪華絢爛、その一言に尽きるカジノだが、あくまでもこれは成金用のもの。
実際には奥に裏VIP用のエリアがあり、そここそが価値ある品を揃えてある。
入り口を潜った俺は、そのままVIPエリアへ移動。
通常エリアも他のカジノで勝たないと来れない場所だが、ここではあまり価値がない。
VIPルームに入ると、さらに成金用と言わんばかりの金尽くしの空間となる。
すぐに裏VIPエリアに行きたくもなるのだが……その前に、やることがあるのだ。
俺はまず、『プログレス』を探した。
景品として飾ってくれているだろうし、通常VIPの景品にもしておかないと、さすがにクレームが出るだろうと考えてだ。
「……っと、あったあった。うーん、あんまり安くは無いけど高くも無いんですね──どうしてでしょうか?」
「また、気づいたのね」
「たまたま見つけただけですよ。……そんなこと、本当はありえませんのに」
「……懐かしいわね、それ。私が貴方に言った言葉じゃない」
俺の呟きに等しい問いかけに、やはり俺を監視していた『賭博』が返答する。
ここは彼女の支配領域、カジノエリアだけに限れば、彼女は自在に転移を行えた。
「ちなみに答えは、目指してほしいからよ。今を時めくプログレス、ギリギリ運がいい日なら届くかも……そんな期待を抱いて、誰も彼もが賭けに挑んでいくわ」
「ちなみに獲得者は?」
「そうねぇ……これくらいかしら?」
右手が五本、左手が四本上がる。
ただし、左手の指先が右掌を突くような形で……つまり、九人しか取れていない。
「少々厳しいのでは?」
「それもそうなんだけど……なかなか入荷しないから、苦肉の策なのよ。誰かが都合よく持ってきてくれれば、話は別なんだけど」
「そうですか……そういえばこのカジノにおいて、換金できない物は無いのでしたね?」
「ええ、そうね。スキルでも、命でも……正体不明の道具でも。それが概念として存在するなら、どんなモノでも構わないわよ」
互いにもう一方の意図を分かっていても、言葉を濁しながら語る。
品薄になっている原因も分かっている、だからこそ隠さなければならない。
「──このように、宝石を換金したいのですが……いかがでしょうか?」
「まあ、これはとっても素敵ね。うん、価値ある品には相応の額のチップを用意するわ。ぜひとも、ここのゲームを楽しんでいってほしいわ」
「ええ、そうさせてもらいましょう」
俺は大量の宝石型のアイテムを、『賭博』に渡してチップを受け取る。
換金用のチップで直接景品は手に入れられないので、一度ゲームをやらねばならない。
……とりあえず、裏VIPルームに行くとしようか。
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