虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
陰陽師問題 その11
「まあ、誘き出しましょう──『白氷』」
水分を操る権能、『白氷』の力を劣化版の【魔王】の能力を使って再現する。
魔力はそれなりにあるので、それを使って発動範囲を大幅に広めて行使した。
「一人足りませんが、切り札ですね……とりえず行きます──メカドラ、“魔力弾丸”」
『ギャォッ!』
魔石を弾丸にして飛ばすメカドラ(銃)を使い、式神たちへ放つ。
先ほど水分を操作して、対象は全員補足済み……予め銃は追尾モードにしてある。
そうして飛ばした弾丸の数は十発。
その内の三発は目の前の少女、八倶の生みだす結界によって推進を止める。
残った七発は、それぞれ目的の場所へ飛んでいった。
外部からのダメージを受け、強制的に解除される隠蔽……現れる七人の式神たち。
「改めて名乗りましょう。私は『生者』、今回皆さんのお相手を担当いたします。皆さんのお名前をお聞かせくださいませんか?」
「一火じゃ」
「二羅だにゃぁ」
「三稀と申します」
「四瑠です」
「五恵である」
「六緒だよー」
「七藻……です」
「八倶」
「そして、例の九拿さんで九人ですか。よろしくお願いしますね、皆さん」
八人の美少女が相手になってくれる。
これがラノベとかだったら、ハーレムとかそういうたとえができるかもしれないが……俺の死亡レーダーはガンガン警鐘を発令中。
「さっそくですが、ご質問を。何度殺してもこの場に戻ってきて、まったく戦う気の無い一般人をイジメる気はございますか?」
「どこに一般人が居るのじゃ?」
「……いえ、私ですけど」
「一般人とやらは、首を刎ねても動いている化け物なのか。いつの間に、世界は広くなったものじゃな」
皮肉を返されてしまったので、とりあえず交渉は断念。
ただまあ、彼女たちが強いことは分かっているので……開幕の一発は決めている。
「じゃあ、これで──『極龍砲光』」
消費する触媒は『蔽塞の小箱』。
当たれば即座に封印される、そんなアイテムを使った巨大な拡散レーザー。
その危険性はすぐにバレ、回避行動を行う式神たち。
だが、まだ彼女たちが知らない仕掛けがこの瞬間に発動する。
「──“トラップシャッフル”起動」
『ッ!』
「残念、四人だけですか。もう少し、減ってくれても良かったのですが」
二羅、五恵、六緒、七藻。
彼女たちは突如発生した転移罠を踏み、そのまま『蔽塞の小箱』の力を帯びた光の柱に呑み込まれた。
光が収まる頃には、四つのキューブがこの場には残される。
前に使った時と違い、ちゃんと解く方法も見つけてあるので問題ない。
──さて、どんどん続けよう。
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