虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
陰陽師問題 その10
というわけで、俺と『辻斬』はとある方法で『陰陽師』の下へ向かった。
……まあ、まだ対策が完全にできてはいない、『プログレス』を使った殴り込みだが。
「……なるほどなぁ」
「ええ、まあ、私はすべての事情を把握しているわけではありませんし。こうするのが一番かな……っと。それに、仲直りをした方が良いではありませんか」
「向こうにそん気があるとは思えんなぁ」
「フシュー、フシュー!」
顔を合わせた瞬間から、『辻斬』はひたすら『陰陽師』だけを見ている。
荒い息も吐いており、いかにも恨みがありますって感じだ。
「まあまあ、とりあえず……これを」
「っと、これは?」
「一度だけ、死にません。死んだ際、もしくは十分経過で壊れます。そして、壊れた後は強力な防御壁となりますので」
「……なるほどなぁ。『生者』はんも考えたわけや」
死んでもらいたいわけではないので、そこら辺はしっかりとフォローしている。
ちなみに、たとえ強引に防御壁を壊してたりしても、バッチリ蘇生薬があるからな。
「抵抗しても、えぇんやろぉ?」
「それはもちろん。『辻斬』さんも、それは承知の上で挑むのですから──ただし、求める戦いになるように協力するつもりではありますが」
パチンと指を鳴らすと、『SEBAS』が用意してくれた大量のドローン。
対霊体用の武器を搭載しており、式神が相手でも対応可能だ。
「できれば、私が『陰陽師』さん以外を相手しますので。私を倒すまでは、どうか基本的には一対一で戦ってもらいたいのです」
「……ほぉ、やってみぃ」
まあ、お約束のアレがまず起きる。
突然俺の首がポーンと飛んで、地面に転がり粒子と化す。
そしてそれは宙に融け、そのまま消え……ることなく、再び首の形を構成する。
死んでも動き、何度でも生を謳歌することこそが権能なのだから。
さて、問題はそれをやった相手である。
パッと見、翡翠色の髪以外は特段目立つ身体特徴は無い眠そうな少女。
首を刎ねたのはその刀……ただし、手だ。
「えっと、どなたでしょうか?」
「……八倶」
「私は『生者』です、よろしくお願いしますね、八倶さん」
「……よろしく」
手刀で俺を殺したようだが、どうやら死因は結界による切断だったらしい。
こちらもお馴染み『死天』によるアイテム生成が、結界関連だったことから判明した。
さて、更なるお馴染み死亡レーダーがガンガン警鐘を鳴らしている。
すでに特定しているのは、俺の視界で認識できている三人分の反応だけ。
だが、他にも一火と四瑠、そして監視をよく来ていた娘の反応で三つ分。
これでもまだ、四つ分の未確定な殺気が残されている。
一人分、まだ足りないんだよな……そんなことを思いつつ、目の前で始まった死闘を拝むのだった。
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