虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
陰陽師問題 その04
「さて、改めて確認しましょう。『陰陽師』さんは現在、とあるお方に迷惑している。領域内で暴れ回られており、通常の式神だけでは対応ができていない……これで合っていますか?」
「合っとるよ」
「そしてその人物は現在、この地を目指して進行中……これも合っていますか?」
「ええで」
東から侵攻しているようで、それを止めようとしている式神たちもやられている。
時間稼ぎにはなっているようだが、もう間もなく来る……だからこそ、呼ばれたのだ。
「相手は『辻斬』。刀と暗殺に関する能力に長けた『超越者』、持っている妖刀のせいで式神たちは斬られれば弱体化している……ずいぶんと面倒な相手ですね」
「本当や。ウチかてどうにかしないとなぁと思っていたんや。それでも、全部無為にしてアイツは来はった」
「何か、恨みでも買ったのでしょうか?」
「……さてな」
物凄く心当たりがありそうなんだが、今はそこには触れないでおく。
匂わすことも立派な作戦、下手に聞いて余計なことに巻き込まれてはならない。
……さっさと次に行くべきだな。
「そうですか。では、報酬に関する話へ移りましょう。前回は符を頂きましたが、今回はそうですねぇ……自由な通商権を頂けないでしょうか?」
「なんや、そんなんでええんか?」
「構いませんよ。『陰陽師』さんの領域はすべて式神たちによって守護されていますし、安全に商業ができそうです。とても豊穣な地ですし、前回よりも多くの経験をこの地でしておきたいですので」
要するに、前回はいろいろあったのをチャラにするからまけろと言ってみた。
年がら年中監視されているこの地で、イカサマなどは極めて困難だろう。
それでも、真面目に商売するのであればこれほど対等な場所はない。
……相手が『陰陽師』に何かを認められていても、権利のごり押しができそうだし。
「……ほな、結果次第やな」
「ありがとうございます」
「気が早ないか?」
「約束は、守ってくれるお方だと承知しておりますので。それでは、そろそろ現地へ向かうことにします」
正座を崩し……痺れた体を死に戻りで即座に回復させて、再び立ち上がる。
口約束なのだが、前回よりも払いはだいぶ快くやってくれるはずだ。
「……さて、実際どうだ?」
《前回、旦那様が千苦と初めで邂逅した場所にいるようです。どうやら時間稼ぎは、あえてその地で行っているようですね》
「まあ、そっちの方が都合がいいのか。それならそれで、地形も加味して戦えるか。準備しておいてくれるか?」
《畏まりました》
そんな会話をしたのち、俺は転移して目的地へ向かう。
いったい、どんな人物が辻斬りをしながらここに来ているんだか。
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