虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
プログレス 後篇
再び訪れる、世界樹の洞内にある祠。
神壇や神像など、神様関連の品々が無数に集められている場所だ。
今回は創造神様だけでなく、置かれた神像の数だけお供え物をしていく。
工具、鎌、爪とぎ、医療道具、お菓子……まあ、渡すモノは結構アレであるが。
「すべては神々とのご縁が導いたもの。どうか、お納めください」
神像の近くに置いたお供え物の数々が、ここではないどこかへ消えていく。
……まあ、座標は分かっているので、準備さえすれば行くこともできるのだが。
「さて、そろそろ帰る……ッ!?」
《神気の反応を確認。これは……旦那様が接触した、どの神々のモノとも異なる反応。しかし、それならば……》
「どうしたんだ?」
《いえ……旦那様の眼を借り、真実を視たうえでお話しすることになるかと。必要のない情報である、あるいは私の勘違いである可能性がございますので》
そんな会話をしている内に、ソレは俺たちの下に舞い降りた。
創造神様と俺の初期設定を行ってくれた女神様の間に、メイド姿の少女が一人。
「……なんで、メイド?」
「──初めまして、御主人様。私はプログレス、眷属神プログレスと申します」
「…………プログレス、だと?」
巷で大人気、そして俺が製作した機械の名が少女から出た。
そして何より、眷属神……『SEBAS』が気にかけていたのはこのことか?
《いえ、私が感じ取っていたのは複数の神々の神気と類似する部分があった点です。要するに、彼女の誕生に複数の神々が手を貸しているということです》
「そういうことですね。私はプログレスに関する人々の想念、そして他の方々が分け与えてくれた神気によって成り立っています。ちなみにお二方の御力もありますので、会話はこちらでも把握していますよ」
「そうだったのか。隠すような会話でもないから、好きに聞いていてくれ。いちおう自己紹介な、俺はツクル。で、こっち……というかこの機械の先に居るのが『SEBAS』」
《初めまして、プログレス様》
俺が借りている権能で創られた存在のことだから、認識できるのかもしれない。
まあ、別に気にすることでもないし、便利には違いないからな。
「それで……プログレス、お前は何かやるべきこととかあるのか?」
「いえ……特には?」
「なら、見つかるまでここの管理をしていてほしい。神気を持つ存在は貴重だし、俺には分からないこともある。やりたいことが見つかったらそっちを優先していいから、頼んでもいいか?」
「あっ、はい。畏まりました!」
眷属神と言われても、特にやってもらうこともない……自由にさせて、どういった目的があるのかじっくりと調べていこう。
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