虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
マラソンイベント その21
「おおー、ずいぶんとまあ着々と進んでおりますな」
罠で撹乱をしているが、『プログレス』をしっかりと育てている熟練者たちは強い。
自身のスキルや職業と『プログレス』を組み合わせ、有効的に活用している。
最初に設置した転移系の罠はともかく、あれから追加した攻撃系の罠とか落とし穴などの嵌め技トラップもだいたい潰されていた。
ゲームマスター、あるいはダンジョンマスターとして振る舞っているので、直接的な攻撃を俺は行わない。
大量に『死天』のアイテムを投下すれば、多くの休人たちを屠ることはできる。
……ただ、加減ができないため、彼らが自身の力を使う前に倒してしまうんだよな。
「けど、そろそろゴール到達者が出てきそうなんだよな……『SEBAS』」
《畏まりました──ドローン投入、『偽生の霧現』を散布いたします》
できるだけ休人を殺すさず、そのうえで有用な力を使えるようなアイテムを選ぶ。
今回使った『偽生の霧現』は、実態を持つ幻覚を生みだす霧を放つものだ。
内容を明確にイメージしなければならないが、そこは『SEBAS』にお任せ。
問題点が無くなったため、霧は迷宮を守る最後の仕掛けとして使えるのだ。
「行き止まり、大量の魔物、他の休人を敵として認識……やれることはいっぱいあるからな。真実を見抜く能力なんかもあるみたいだが、それなら偽りを見せた奴らにぶつければいいだけだしな」
他にも指定した仲間と合流できる能力だったり、壁抜けできる能力だったり豊富だ。
しかも『プログレス』ではなく、それが職業の能力だったりする場合もあるな。
「霧を風で払う奴もいるな……まあ、それは意味無いな。ドローンごと吹き飛ばせるならともかく、空間固定しているからそっちごと干渉を突破しないとダメなわけだし」
ただ霧を散布しているだけでは、そこを突かれることは予め予想していた。
絶対防御とはいかずとも、特定の攻撃でなければ破壊できないドローン。
ついでに結界への攻撃は解析できるし、破壊されてもその際の情報は『SEBAS』に送られるようになっているんだよな。
「しかしまあ……それでも無駄だよな。やっぱり来るか~」
鋭い斬撃は空間という隔てりを超越してドローンを破壊するし、強力な聖獣などは空間の破壊など容易い。
不幸にもドローンが動作不良を起こすこともあれば、その他にもさまざまな現象が起きてドローンは破壊されている。
《旦那様、いかがなされますか?》
「『SEBAS』の予測していたゴール時間になったら、終わるように調整してくれ。壊れるのは最初から分かっていたことだ、破壊の寸前まで解析は続けてくれよ」
《畏まりました》
そろそろクライマックスだ。
他者のプログレスを使おうにも、とある制限があるためそこまで有意義ではない……最後に頼れるのは自分の発明である。
「──出番だぞ、メカドラ」
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