虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
マラソンイベント その01
「またイベント……か。しかも、今回はマラソンみたいなもの。休人たちに、何を求めているんだろうな」
《部門ごとに異なる距離、難易度で行われる耐久レースですか。旦那様は、どちらで参加なされるのでしょうか?》
タクマと会話をして、予告された次なるイベントについて話し合う。
熟練者・経験者・初心者部門と分かれており、戦闘職と非戦闘職で距離が倍以上ある。
身体能力に補正が入っているEHOだが、個人によってそこには差があるので、部門や職業で分けて調整しているのだろう。
「転位と転移はダメみたいだけど、それ以外はほとんど何でもあり……魔道具の使用も許可されているし、問題なさそうだな」
《では、いかがなされますか?》
「……熟練者は家族が上位に入るだろうから無し。経験者か初心者で参加だな。判定は能力値の合計値で判断するみたいだし、最低限な俺なら問題ないだろう」
種族レベルが999なのに、全然強くないのが俺こと『ツクル』。
能力値が魔力と器用さしか高くないため、今回は初心者でも参加できちゃいます。
そりゃそうだ、いったいどこをどうすればマラソンに魔力や器用さが必要になるのだ。
体力や敏捷など、直接関わってくるような部分から参加部門は判定されるらしい。
「どれだけ優れた職業でも、それが非戦闘職だと弱い戦闘職にも負けることがあるらしいからな。熟練者の戦闘職部門ともなれば、そういう奴らがごまんといるんだろうし……いくら魔道具を使っても負けそうだ」
《可能性は低くはありません。いかに旦那様であろうと、瞬間的な戦闘において勝率は高くありませんので》
「……そりゃあな。持久戦に持ち込んで、うやむやにして勝つのがテンプレだし。普通に戦っても、俺はショウたちには勝てない」
ちなみに俺がショウと戦った場合、どれだけ防御しても全部斬り裂かれて死ぬ。
星の剣、そしてその担い手はチート能力が俺以上にあるからな。
「──とにかく、イベントはどうしても欲しい景品があるわけでもないし、今回は休人たちの戦力チェックという考えもある。観戦に注力しながら、楽しんでみることにしよう」
《畏まりました。旦那様がそう仰られるのであれば》
「ついでに、見習い職の強化がどれぐらい効果的だったかの実験もしようかな? 速度強化もいくつかあったし、魔力があるから身体強化もできるし……やることが増えたよ」
目的があればあるほど、俺も楽しむことができるわけだし。
さてさて、イベントまで少しある……魔道具でも作ろうかな?
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