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虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

見習い成長 その06



 近接職、というか剣を使えるような職業はすべてカンストをした。
 世の中には儀式剣という物もあるので、一部の聖職者系職業なんかも上げられたぞ。

「ああでも、本当に数が多いな……」

《見習いを冠する職業は、基礎となる職業に多く確認されています。まさに、基礎を叩き上げるための補助システムです。世界に豊富な職業がある限り、見習いもまた膨大な数が存在するのです》

「丁稚だっけ? 正式に就くため、10レベル分ぐらいは習えと……そういえば、見取り稽古でもレベルが上がるんだっけ?」

《はい。生産職の場合、見習いだと成功率が極端に低いため、そういったサポートが存在するのかと》

 戦闘職の場合、いきなり戦闘だから最悪死ぬようなことも……休人みたいに命を軽く扱わなきゃ、普通はしないだろうけど。

 戦闘職は戦闘でしかレベルが上がらないわけではなく、あくまでも戦闘に関わることなら問題ない……つまり稽古もな。

 まあ、俺には関係ないんだけど。
 本来必要とする生産職は最初からカンストしていたし、地道に稼ぐよりも魔物で大量に稼いだ方が楽なわけだし。

「これを使うか──魔術“千変宝珠”」

 今まではそれでも、しっかりと武器や符などを使っていた。
 他にも魔道具を使ったり、精霊を呼びだしたり……まあ、いろいろである。

 しかし、『騎士王』から貰った時からだいぶ改竄してあるのだがこの“千変宝珠”。
 ヴァルハラに居るアインヒルドが毎日戦闘経験を送ってくれるのも、向上する理由だ。

「──『形状:基本武器系列』」

 魔力で生み出した宝珠を無数に増やし、それら一つひとつの形状を書き換える。
 これだけで、一気に全武器の戦闘経験を得ることができる……うん、ズルいな。

「──『付与:全属性』」

 火や水などの基本属性だけでなく、こちらは多種多様な属性を付与できる。
 神とか仙丹とか獣とか、そういうヤツまでてんこ盛りの武器を──解き放つ。

 もちろん、魔物は一瞬で死ぬ。
 死ぬというか……属性ごちゃ混ぜなせいなのか、触れただけで消滅した。

「……経験値、入る?」

《──確認できました。ただし、ドロップ機能を起動していた場合、アイテムは瞬時に耐久度を減らし消滅していたことでしょう》

「……まあ、それならそれでいいかな。やっぱり、よく言う『混ぜるな危険』ってこういうことだったのか。気を付けないとな……相手が使ったりしたら、蘇ることができなくなるかもしれないし」

 少なくとも、デスペナがよりひどくなるんだとか。
 まあ、そんな危険なモノでも使いようはあるから使うんだけど。

 ──最強といずれ相対するならば、絶対に必要だしな。


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