虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
見習い成長 その05
剣を握りしめ、魔物たちに振るっていく。
予め『SEBAS』が把握していた情報を基に、効率的に称号が習得できないか……その実験も兼ねて、今は雑魚を薙いでいる。
「デッカい大剣を振るっていると、どこかの主人公っぽいんだけどな……これ、振るうというより振り回されるだし」
星剣[虚膨]の銘を与えたそれは、魔力を籠めることでどこまでも膨らむ剣だ。
今はそれを大剣サイズまで膨張させ、魔物たちを殺していた……ちなみに重力自在。
「【見習い剣士】、【見習い刀士】はとりあえずカンストしたな。武器とか属性魔法で制限された職業は、該当する戦闘方法じゃないと経験値が貰えないんだよな……」
《経験値取得と戦闘方法が結びついており、条件を満たしていない場合は職業経験値が取り込まれないようですね。本来であれば、異なる武器種での戦闘は、損でしかありませんが……旦那様は違います》
「──“職業系統樹”、ズルすぎないか?」
さすがにまったく異なる──その武器を絶対に使わないような──職業はともかく、武器が職業として補正対象に含まれているのならば、経験値を注げるのだ。
なので先に挙げた二つだけでなく、剣を使うような職業である【見習い戦士】や【見習い騎士】などにも経験値が入っている。
「剣が対応している職業って、考えてみると結構あるんだな。【見習い盗賊】も、なぜか対象に入っているし」
《盗賊系の職業は、短剣を用いた行動に補正が入ります。故に経験値が注がれ、現在はレベル8となりました──10です》
「おおっ、またカンストか……称号も何かいいのが手に入るかな?」
《武器限定の称号で無いならば、すでに殲滅行動は獲得していますので。今のところ、獲得はしておりません》
大量殺戮兵器を所持している俺なので、膨大な数の魔物を一気に殺すようなことには慣れるほど経験していた。
だが兵器と語ったように、自分が用意した武器で行った経験はほとんどない。
まだまだ得ることができる称号は、あるというわけだ。
「しかしまあ、なかなか使わなかったネタ武器のオンパレードだな。そういえば、職人は自分の武器を試すからそれなりに強いっていうけど、この世界の職人もそうなのか?」
《鍛冶職人であれば、そうですね。職業補正として筋力がやや向上しますので、副次的に攻撃力も上がります》
「まあ、裁縫とかじゃそうはならんか。錬金術師なら魔法関連がよくなるって、そういえば『錬金王』さんが言ってたな」
剣でチクチク魔物を突きつつ、無数の職業がカンストしていく様子を眺める。
……全部一番最初の部分だけで、樹は全然伸びていかないんだけどな。
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