虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
見習い成長 その04
とりあえず、【道士】と同じく札を使う系の職業である【見習い符術士】に就いた。
正直、『陰陽師』を思い出すが……そこは割り切って使っている。
今度は僵尸ではなく妖怪っぽい奴らが出てくるので、それに対応しながら疑問に思ったことを『SEBAS』に尋ねていく。
「そういえば、【見習い】で複合職が発現することは無いのか?」
《ございません。見習いの上位職は下級である一次職にのみ存在し、複合職は二次職。必ず一次職での経験が必要となります》
「……えっと、つまり見習いが無い方のカンストとかが必要ってことか?」
《厳密には、二次職以降の職業において、その経験が含められません。見習いとしての経験は、一次職でしか反映されない。そういったシステムがございます》
二次職……つまり上級職の中には、いちおう見習い職である零次職(仮)と一次職での経験を必要としないものがある。
しかしそれはごく稀で、基本的に二次職への転職条件はその系統での職業経験だ。
……要するに、いきなり大抜擢されるような展開は滅多に無いということ。
「──妖術『狐火』」
物ノ怪たちに協力してもらった妖術の符を使い、妖怪たちを焼いていく。
日の下だと認識しづらいその炎は、そこまで知能の無い妖怪たちでは回避不可能だ。
さまざまな物ノ怪たちの妖術を使い、大量に妖怪を屠る。
それほど倒す必要があるのは、案外レベルアップがさくさく進んでいるから。
「ふぅ……これでどうだ?」
《レベル10。カンストを確認しました──次の職業に移行しますか?》
「符と魔術は凄いのがあるからな。できる内に、できる限り上げていこう」
本来、職業レベルを上げるとその分成長率は下がっていく。
一定レベル以下の魔物から、経験値が貰えなくなる現象があるらしい。
しかもそれは、これまでに就いた職のレベルも含まれている。
それを回避するには、レベルリセットという儀式をする必要があるんだとか。
──けど、俺には関係ない。
チート能力“職業系統樹”様は、そういった制限の対象になっていないそうだ。
そのため一定のリズムで作業をこなせば、いつの間にかカンストしている。
なんだか流れ作業染みてきたレベリング。
今は符を使っているが、魔術を使っても似たような流れになるだろう。
「さっさとやって、武器系の職業に入れば何が変わるかな?」
《そちらは旦那様ご自身に戦ってもらうことになりますので、そうなるかと……》
「まあ、それも結界を張ったうえでだから、全然問題ないんだろうけど」
分かり切ったことである。
……俺が直接戦うようになるまで、それから一時間も必要としなかった。
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