虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
古代会談 その09
会談は苛烈だったと言えよう。
来たら迎え入れるだの即迎撃するだの、様子を見るだの多様な意見が出た。
守護獣であるヘノプスも参加して、八区画の代表者がそれぞれの意見を伝える。
あれこれ話し合い妥協点を見出し、とりあえずの結論に至った。
──あくまで、休人への対象法だが。
議題はまだまだ、他にもある。
自分たちの縄張りや、連絡手段の確立などは成すべきことはたくさんだ。
そういったものをすべて終えるには、早朝から始まった会談が夜空を迎えるほどの時間が掛かった。
「──以上で、皆さんの総意が出来上がったものとしましょう。議長である私が、今からそれらを読み上げていきます」
会談の際に出た発言を、『SEBAS』がすべて把握して資料にしてくれてある。
なので俺は、それを読み上げるだけの簡単なお仕事……ああ、堕落しそうだ。
「まずは皆さんの支配する区画です。私はこの世界を九つに分けて考えていましたが、皆さんはその制度を受け入れました。ただし、北西区の代表は北区と西区に領土を割譲。代わりに狩りの抑制を提示しました」
もともと洞窟内に居たゴーレムサウルスなので、生息地に関して文句はないそうだ。
代わりに自分が庇護する存在は、しっかりと守れるようにしている。
普通の魔物も現れるので、それらを倒すことに関しては何も関与しない。
ただし、庇護下の魔物が攻撃を受けた場合は行った区と異なる区と共に攻撃をする。
そういう条約を結ぶことで、殺されないようにしたのだ。
……ちなみに、両方が同時に攻めてきた場合はあるペナルティが課されます。
「他の皆さんは現状を維持。ただし、配下ではない野良の魔物が境界線を越えた場合は処理をしてもよい。配下であった場合も、条件次第で処理可能。こちらは、私が定めたルールに従う……これでよろしいですね?」
レムリアに霊体という法則が存在していたように、この世界にも法則を設けられた。
それによって定めたのは、PK制度のようなものだ。
野良の魔物を殺しても何も起きないが、配下となっている魔物を殺した場合は刻印が体に現れる。
刻印は時間経過で消えるが、消えるまでは殺人者扱いで殺されても文句は言わない。
また、俺が飛ばすドローンに遭遇した場合容赦なく狙われる(本来は警備用)。
これらは【救星者】の力を籠め、星に即座反映させたので実際に証明している。
配下のシステムなども、『SEBAS』が事前に冒険世界を参考にやってくれた。
「そして、休人もまた同様の法則で縛ることになります。犯罪者が入ってきた場合は、事前にそれをお伝えします。そうでない場合であり、そして法則を知ってもなお逆らうのであれば……処遇は皆さんにお任せします」
──俺は聖人じゃない。
箱庭で一生懸命生きる彼らと、死んでもよみがえる休人のどちらを優遇するかなんて分かりきったことだ。
自分がもっとも生を冒涜する存在、だからこそ彼らの自由は可能な限り尊重する。
それと同じくらい、星の管理者として公平な裁きを下す──合理的な判断を以って。
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