虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
古代会談 その05
北区の代表である古代人『代表』を除き、全員が知性を宿す魔物である。
現在、彼らの体からは膨大な量の魔力が溢れ出ていた。
「──『開核』。魔物だけが行える最終手段であり、知性を宿した者にしか使いこなすことのできない禁断の強化法ですね。ちなみにですがヘノプスさん、ヘノプスさんも使えるのでしょうか?」
『はい。というより、初めて出会った時も使用していました。北区の代表と真剣勝負を行うためには、必要なことでしたので』
「なるほど。たしかにあのとき、理性を保つことができていましたね。話によると、暴走する可能性があるということでしたが?」
『ええ。始めは維持できる者も、時間経過や意識を削がねばならないほどの重傷を負うと暴走状態に移行してしまう可能性が発生します。果たして、彼らはそういった状態でも理性を保てるのでしょうか?』
さらに戦闘が苛烈となっていく。
ちなみに『代表』に渡した装備の効果は、あくまでそのときの能力値を複製する。
しかし何らかの方法で能力値を向上させた場合、その数値分の修正は入らない。
能力値を更新したいのであれば、その時々に触れる必要があるのだ。
「ここまで脱落者は一人も出ていませんでしたが、そろそろ出てきそうですね。やはり、『開核』の熟練度は年長者の方が高い。強化度合いにも差が出るうえ、維持時間にも影響が出ているようです」
『西区の代表は若輩者とのことですが、まだまだ制御ができていない。あのような使い方では、間もなく──始まります』
サウロポセイドンも他の魔物たち同様、体からエネルギーを噴き出して戦っていたのだが……彼は下克上を果たした個体。
力そのものは相応にあったのだが、まだまだ技術的な面で劣っていた。
その結果、強化が足らずに他の個体よりも早く傷を負い……その結果、意識が薄れる。
響き渡る知性を宿さない狂った声。
目を真っ赤にして暴れ出し、形振り構わず誰かを襲い始める。
「──狂化の影響で、それなりにリミッターが外れて強くなっていますね」
『ですが、相手は同じ『開核』個体。あの程度では……この通りです』
「あー、一蹴ですね。むしろ、こうなることが分かっていたようで、サクッと潰されましたね。なるほど、一時的に高められましたが知力が足らずに倒されました。……ですが、これはバトルロイヤルです」
『なるほど、このタイミングで動いてきますか……人族は、やはり面白い』
退場者は休人の死に戻り同様、光の粒子を飛ばしてこの場から消え去る。
だがその粒子でも、装備は触れたと定義して能力値をコピー可能だ。
──知性を持ったまま、狂った状態の能力値を得た『代表』。
「さて、そろそろ終わりでしょうか? すでに自身の限界を超えた動きに慣れた北区の代表が動きます──皆さま、人族の底力をどうぞご体験を」
俺も精いっぱい、子供たちが楽しめるように実況をしなければ。
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