虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

守護獣の加護



「毎度毎度、話を残しておいた俺が悪いのかもしれないけど……それを反映させられるここの人たちも充分凄い」

 前回は崖に作った要塞。
 そこに見事なカモフラージュを拵え、恐竜型の魔物たちから逃れていた。

 しかし、神練を乗り越えた彼らは最低限安全に戦えるだけの力を得たのだ。
 そのため、俺が教えたけどまだやっていないことを実行したようで……町が生まれた。

「人の領域ってのは、こういう感じで増えていくんだな。戦力を見せることで、恐竜たちも諦めたのか」

《神練の影響で魔物たちの勢力図に変化が生じたいのでしょう。人族もまた、この箱庭における勢力として認められた。何より、今の彼らは守護獣であるヘノプスと友好関係を結べている……それらが理由かと》

「加護ってそういえば、魔物たちの戦意を削ぐ効果があるのも存在するって言ってたな」

 俺の持っている祝福には、一つとしてそういった効果を持つモノはないんだけど。
 そして、守護獣の祝福を授かった場合、その守護領域で権威を借りることができる。

 具体的には、微弱ながらその守護獣の気配で威圧ができるのだ。
 さながら、虎の威を借りる狐が如き、雑魚でもある程度安心を得られる。

「言語も普通に話せる程度の向上しているみたいだし、子供たちも……そういえば、強くなっているもんな」

 自慢ではないが、俺の種族レベルは高い。
 しかし生命力は限りなく0に近い1で、子供で息を吹きかけるだけで殺せる。

 今となっては結界で微弱な無意識の攻撃を防げるようになったものの……一番最初、貢献イベントの時は特に殺されたものだ。

「『SEBAS』、子供でも魔物を殺すだけの力を持っているのか?」

《はい。それらは発覚しておらず、いつでも伝えることができます。旦那様次第では、子供たちに依頼をすることも……いかがなされますか?》

「子供ってのは、大切にしないとダメだからな……お小遣い稼ぎに何かできることを見つけてやるぐらいでいいだろう。レベルアップできるのもいいかもな」

《畏まりました。そのようにいたします》

 俺とて息子と娘を持つ大人である。
 子供に狩りをさせるとか、自分から進んで望むようなことでもないだろう。

 自主的に、子供たちの意思を尊重しながらさせてやるのがベスト。
 そのためには、何ができるのかを……考えてもらうのが最適解。

「……とりあえず、代表に会って話をしてみようか。受け入れられるなら前向きに検討して、そうじゃないならそこで終わりだ」

《仰せの通りに》

 ヘノプスに子供へ加護を掛けてもらえば、安全性はさらに向上だ。
 ──いや、いっそのことアレを使うか?


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