虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
機械使役 後篇
戦力増強もかねて、封印していた機械のドラゴンを再起動させた俺と『SEBAS』。
見事使役に必要な魔力の接続を、心臓部の動力源と行うことで──
「よし、制御できたか。メカニクルドラグスター……言いづらいな。『メカドラ』、暫定ではあるがこの名を与えよう」
『…………』
「何か言いたそうではありそうだな。もともと自律的にやらかすだけの知性はあったし、ステータスシステムを宿すぐらいはできているわけだし。まあいい、人畜無害を装うのであれば、俺はお前の行動を咎めはしないさ」
『…………グルゥ』
やはり、応えるぐらいの知性は持っているようだな。
もともと『SEBAS』が弄っていたのだから、当然と言えば当然なんだけれども。
「とはいえ、使役してもここまでデカいと困るよな……って、ん? 武器化スキルなんてものもあるのか。やってみてくれないか?」
『グルッ!』
首を縦に振ると、形態を変化させる龍。
質量保存の法則を無視したそれは、やがて小さな銃を生み出した。
回転式でも自動式でもない……まあ、ある意味自動ではあるんだが。
空間属性の部品を内蔵しており、銃弾はそこから勝手に装填される拳銃らしい。
「えっと……『機銃[龍星]』。偽装したステータスを出してくれるんだな。他の姿にもなれるのか?」
『グルゥ』
「あっ、詳細欄に載ってたな……って、どうかしたのか?」
『グロォ……』
さすがは『SEBAS』、形状に関してはほぼ何でも可能としているようだ。
それ以外の形でも、少し時間を費やせば変形できるようになるみたいだし。
「なら、そうだな……『SEBAS』、記憶させる形状変化に限界はあるか?」
《ございません。しかし、内部で保存するか外部で保存するかによって性能に変化が生じてしまいます》
「どういうことだ?」
《処理能力や在り方が、記憶している形状の数で変化します。多くの形を覚えるのであれば、一つひとつでの性能を落として力を発揮し、多様な姿を持つことに特化します》
威力などの点においては劣化するが、変形速度などに関しては上昇するらしい。
逆に、最初から限定化しておけばその形態でできることに幅が広がるそうだ。
「銃だったら、弾種の変化。剣だったら、伸縮変更や振動斬撃とかなのか……初期兵装を利用しているものなら、形状に関係なく使えるみたいだが」
《いずれ持ち主と共に成長する機械という形で、発売する予定でしたが……いかがなさりますか? レベルシステムをそのまま用いるのは控え、魔石で擬似的に成長する形になりますが》
「それなら魔物化こともないか……むしろ、それも拡張パックとして有料課金にしたらいいのかな? また今度、やってみよう」
今は機星龍であるこいつのレベルを上げないと、思うように使えないだろう。
俺より強いことは分かっているが、これまで相手取ってきたことを考えると……なあ?
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