虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
機械使役 中篇
機械を自作することのある俺だが、コイツに限っては俺の生み出したものではない。
最悪の機構を持ったそれは、とある国の地下に眠っていた代物だ。
「今はどういう名前だったっけ?」
《機星龍。ルビを振るのであれば、メカニクルドラグスターです。旦那様の【救星者】の力、そして:DIY:によって作られた部品を用いることで変質しました》
「名前だけ聞くと、凄いインパクトだな。しかし、使えるのか?」
《調整はしましたし、旦那様の職業も一時的に機械特化のものにしました。おそらくは、問題ないかと》
生産系として【整備士】と【技師】系を。
同じく、【見習い】から【操縦士】をロボのロマンのためにレベリングをしたので、すべてをセットしてある。
称号も同じく。
ただ、家族での冒険中に使った際とは違いロボを操るわけでもないので、一部は機星龍に特化した称号をセットしておくけど。
「じゃあ、『SEBAS』……頼む」
《畏まりました──魔力回路接続、再起動を実行します》
スイッチ感覚で起動された機械の龍。
カチッという音が鳴り響くと、暴力的なまでの魔力量が内部から高まっていく。
それらは全身の回路を巡っていき、滞りなく循環させる。
そして、最後に目のランプへ光が灯ると、人工の龍は突如として咆哮を上げた。
「その前に──『窒息死』」
『────ッ!』
俺がこの機械の龍と関わった最初の理由。
それは、とある国において洗脳の電波のようなものを発信していたからだ。
同様にして、この機械仕掛けの龍は振動を媒介にして他者へ強烈な暗示を刻める。
それは魔力はもちろんのこと、他のエネルギーすらも運用可能というもので。
とにもかくにも、それを防がねば自殺を強要されて死ぬ……ということもある。
前回の場合、それが起きかけて大パニックということになった。
まあ、こちらには『SEBAS』という頼もしい存在がいるため、即座に理屈を暴き、無効化していたんだが。
「相変わらず恐ろしい力を使ってくるな……大丈夫なのか?」
《問題ありません。旦那様、そのままお進みください。ああ、“精辰星意”の発動もお忘れなく》
「そうか──“星辰星意”」
相手を弱体化するデバフ特化なスキルを用いながら、前へ進んでいく。
機星龍も抵抗しようとするのだが、突如として自身の身体能力が落ちて戸惑っている。
レベル差判定なため、膨大なレベル量とある意味生まれたばかりのコイツとでは差がありすぎる。
そして、俺は心臓とも呼ぶべき動力源まで辿り着き──
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