虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
万戯華境 その09
権能を真似る、それが可能な【魔王】の細胞から作られた籠手型のアイテム。
現在、それによって『覇獸』の権能が再現され、とある生命体の能力を再現している。
……うん、三段構えの面倒臭さだが、要するにパクリで喰らってパクったわけだ。
「汚せ、『侵略者』」
迷宮に手を乗せ、かつて喰らった存在の能力を起動する。
手から溢れ出す禍々しい渇望、それらは地面に接触し──形を根源から書き換えた。
『──────ッ!』
「スカイ!」
「レープ!」
「彼女たちを喰らいなさい」
侵略者とは他の星で誕生した、寄生生命体のようなもの。
核を持ったアメーバのようなもので、何かに寄生しなければ生きていけない。
今回は、迷宮の豊富な魔力を宿した地形を侵略してどうにか命を保っている。
が、貪欲な侵略者は次の狙いを求める……つまり、双子も捕食しようとしているのだ。
「俺はそもそもの使用者だし、捕食されても寄生できないハズレだって分かっているみたいだし……さて、どうするのかな」
生命力で認識しているのであろう。
実際、迷宮の中に現れる魔物たちも的確に捕食しながら双子たちへ迫っている。
倒す方法はとてもシンプル──核すべてを破壊するような攻撃か、はたまた核という概念に干渉する攻撃を放つだけ。
「──“身命祈願”!」
「──『石像』!」
双子の権能は、そんな侵略者と対等以上に渡り合える術を有している。
命を捧げれば願いを叶える、そんな禁忌の魔法を使う──千の命を持つ『千変』。
あらゆる存在を化けさせる、概念から書き変えていく──万の術を持つ『万化』。
どちらもストックさえ尽きなければ、侵略者相手でも有利に戦える。
戦闘経験があるのかどうかは不明だが、侵略者相手でも余裕は保てていた。
「ですが、あくまでも既存の相手からできた侵略者です。もしも、強い魔物が素体となっていた場合……どうなるんでしょうね?」
「「っ……!」」
「現れよ──『腐肉死龍』の完全遺骸!」
家族で巡った迷宮の中で出てきた、肉が腐り果てた巨大な龍。
それを解体したら手に入ったアイテムなのだが……うん、使い道が無かった。
というわけで、処分に困っていたアイテムの有効利用を求めてさっそく召喚!
強引に生成した侵略者を内部へ寄生させると──狂ったように叫び出した。
「さぁ、お二人の愛とは、このような敵に阻まれるモノなのですか? 死が二人を分かるまで、つまり死ねば終わりな愛程度なのですか? 証明してください、お二人の愛がどれほどのものなのか!」
とりあえずテンションで言っているので、特に意味はない。
これで発奮してくれるなら、楽なんだけれど……どうなんだ?
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