虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
万戯華境 その01
S9W6 孤島
大雨が降り注ぐ、あまり良くはない天候。
強風が吹き荒れる中、俺は浜辺で海を見ながら呟く。
「──意外とやりがいのある一週間だった」
奇跡的な確率からか……活動拠点である大陸に辿り着く前に、双子の『超越者』たちはこの地点を通過するという演算が出た。
ここは漂流が条件なので、なかなか休人でも知られていない隠れスポットだ。
来た者も居るようだが、狙って訪れるのは難しいだろう。
「『SEBAS』、おさらいをしたい。もう一度説明をしてくれ」
《畏まりました、旦那様──今回のターゲットは『千変』、『万化』の両二名。彼らは禁忌級魔法“神造箱庭”を加工した亜空間を拠点とし、世界を転々としております》
「魔法は命がストック制な『千変』が、加工は『万化』が請け負ったんだったな? その結果、通った先々で自然やら生命体やらを取り込むようになったと。お陰様で困っている奴らが出てきた」
《本来は小規模なものだったようですが、双子が制御し切れなくなった結果、現在のように被害が出るほどの現象が起き始めました》
視界よりもはるか先を調べることができる死亡レーダーが、少しずつ脳裏で響かせる警鐘の音を高めていく。
「そこまでは最初から分かっていた部分だ。それよりも先の情報をくれ」
《はい。その亜空間の名は『万戯千境』──彼らが悪戯のために生み出した小さな箱庭。そのはずでした……》
「入り方はどうなんだ?」
《入ろうと思っても入れません。彼らが招くモノ、それだけが入ることを許されます》
とまあ、前振りはしているが間違いなく方法は存在する。
実際、『騎士王』もその気になれば自分でどうにかできるって感じだったし。
《亜空間を変異させ、通常の方法では侵入できないようにされています。しかし、亜空間であるという事実は変わりません。亜空間は脆く、外部から強力な一撃を叩き込まれれば瓦解してしまいます》
「それが『騎士王』の方法だな。で、俺がやる方法は何なんだ?」
《取り込まれるモノ、その中に潜むことで侵入することができるでしょう》
「要するに……アレの中に入ればいいと」
俺の視界に映るのは、大海原を自在に闊歩する巨大な自然現象。
延々と回り続け、周囲には荒れ狂う雷雨を纏う暴風──つまりは嵐である。
「内側まで突っ込めばいいのか?」
《いえ、それでは台風の目と呼ばれる安全地帯に入ってしまいます。そうではなく、台風の中──暴風の中に潜伏してもらいます》
「う、うわぁ……」
そういうことだ。
これで入れなかったら、たとえ世界を破壊してでも強行してやろうじゃないか。
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