虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

情報屋再訪 中篇



 情報屋を経営するタクマの下を訪れ、前払いした情報を教えてもらっている俺。
 先ほど渡したタブレットを操作し、内部の情報を見るのにもだいぶ慣れたようだ。

「それで、職業に関する情報だったか? このタブレットに載っている情報以上のモノならいいと」

「載っているのは、俺が自分の力で見つけ出した情報だ」

「……生産だけ凄いな。ほぼ完全に網羅されてるじゃねえか。俺も知らない、というか休人の誰も把握していない職業とかもあるぞ」

「それが俺のランダムの結果なんだよ」

 就ける就けないかは別として、:DIY:の恩恵によってすべての生産職が解放されている……【王帝】職なんかは、人数制限があるのでほとんど就けないけどな。

「そうか……生産職のお前だから、それなりに調べてあったがそれは無駄になりそうだ。戦闘職も纏めておいたが、ネットにある分は自分で見た方がいいんじゃないか?」

「載ってないのがあったのか?」

「そりゃあな。お前、【見習い】系の一個上しか載ってのばっかりじゃねぇか……なのにどうして、【仙王】とか【野生王】みたいな知られていない職業が載っているんだ」

「直接訊いたからな」

 どちらも知りうる限りの情報を教えてくれた……不明瞭な点も、『SEBAS』が調べてくれたので判明した。
 就いている人が居れば情報も分かるのだ。

「ちなみに、休人じゃないから殺せば就けるようになるぞ……殺るか?」

「するわけないだろう……。自分でそんな顔するぐらいなら、最初から言うなよ」

「そんな顔?」

《そうなった場合を想像して、怒りの感情が表に出ております》

 おっと、なら深呼吸をして落ち着こう。
 休人は死んでも蘇えるのでその職業枠が空くことはないが、こちらの世界の住民の場合は死ねばそれで終わり──枠も空くのだ。

 いちおう蘇生薬は大量に用意してあるし、現在調査のために飛ばしているドローンの管轄内で殺されたなら、散布できるようにも最初から設定してある。

 ……関係者が死ぬのは、この世界だろうとごめんだからな。


 閑話休題ひげきはNG


 戦闘職、そして【見習い】の存在しない色物系の職業が主な新情報だった。
 休人は基本的にバトルを求めていたり、刺激を求めている結果だろうな。

「一番多く集めていたのが生産職だったし、あんまり増えなかったな」

「追加分のお代はそのタブレット内の情報で相殺だな。他にもあるなら、考慮して金を出すつもりだが」

「金は前に貰った分で充分だから、それで構わないんだが……情報ならまだあるぞ」

「へぇ……ここまで出さなかったということは、つまりそういうことなんだな?」

 俺の予想通り、タクマはとても興味深い職業の情報を教えてくれた。
 就けるかどうかは分からないが、職業スキルはとても魅力的なものだ。

 ……就職条件がまだ完全には分かっていないようなので、可能性はありそうだな。


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