虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
神様談(17)
「ふむ、千階層の大迷宮か……それを実現するだけのポイントがよくあったよね?」
「それだけ管理をしっかりと行っているということなのでしょう。彼の使徒が」
いつものように、少年の姿をした者は少女の姿をした者へ問いかけを行う。
少女──◆◆◆◆は、自らの視界に入る映像を見ながらそう呟く。
「──『SEBAS』君だったかな? ずっといっしょに居て、ツクル君と同じ経験をしてきた。そのうえ、こんなものを創れるようになっていたなんて……凄いね」
「どうやら私たちの存在にもだいぶ前から気づいていたようですし、わざわざ観るための中継点まで……想像以上の成長ですね」
「うんうん、まさに──創造神の御業だね」
「…………」
少年──創造神の洒落とも呼べないギャグに呆れ、◆◆◆◆はため息を吐く。
しかし、創造神の言っていたこともあながち間違いではない。
「何か手を貸したのですか?」
「自立性を促すためにこう……手助けをね。ただ、自我らしきものが発露する前に解除したから気づいていないはずだよ」
「ですが、あの様子を見る限りは……何かしらの情報は持っていそうですがね」
「問題ないよ。彼はツクル君の忠実な僕、そうあることを望んでいるんだ。僕たちとは決して対立することが無い」
ツクルを陰ながらサポートするのは、ある意味どちらも同じであった。
直接的と間接的、互いに触れ合わない場所でツクルを支えているのだから。
「しかし……『SEBAS』君はどこまで理解しているんだろうね?」
「彼らがユニークモンスターと呼ぶ、因子を持つ選出候補のことですか」
「ツクル君がレベルをカンストしている、それが要因だろうね。【救星者】が行うことは本来禁忌で禁止されている。だけど、その規則は『SEBAS』君には関係ない。一種のバグみたいなものだね」
「……もしかして■■■様、狙いました?」
ツクルにできないことをできるように、これまでと同じことをさせるために。
そこまでの計算を創造神はしていたのか、と◆◆◆◆は考える。
「無事に機能が働いていることは、彼らがあの[シャロウ]という個体を討伐したことで判明したからね。彼らはまだ知る由もないけれど、あそこは多世界の中でもっとも貴重な財を生む場所になったんだ」
「星の力を管理する存在、それがここまでできるようになってしまえば……ッ!」
「そう、それは神懸った事象だ。君が望んだ存在へ、また一歩近づいたというわけさ」
すべては創造神の振る舞うがままに、世界は進んでいく。
やはり、彼のお方がここに居るのには、相応の理由がある……そう◆◆◆◆は感じた。
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