虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
家族冒険 その13
かつて仙人たちの使う迷宮で、宝箱の中から魔法のスクロールを見つけた。
それを読んだことで魔法を覚えたのだが、使用した直後に死んでしまったのだ。
そのことから『SEBAS』が自動処理された魔法を使えないことに気づき、しばらく魔法習得し放題しても無駄になる……みたいなことになって現在に至る。
ただ、そこには例外があった。
割り切って使えば一発は放てるし、何かを触媒にしてそこで自動処理をしてもらえるならば俺は死なずとも発動可能だ。
今回、ルリにやってもらっていたのはプログラムに頼らないで魔法を行使する練習。
そちらは失敗したが……『SEBAS』によって、魔法は使えるようになった。
「──魔力はいちおう、999だからな。おまけに死ねばリセットされるから、ルリでもできない大魔法を連発……ってのもいちおうはできるぞ」
先ほどの液体によって、一時的に体を魔力操作に耐えられるモノに強化。
そのうえで、『SEBAS』が内部から俺の魔力を調律することで魔法を使えるようにしたのだ。
「まあ、まったく出番はないけど」
「ふふっ、張り切っているわね」
ショウとマイによる無双が、まだまだ続いている……なお、現在は60層。
さすがに一撃じゃ死なない個体も出てきたが、それでも二、三回の攻撃で死んでいる。
「アナタ、二人はこのままいつまで頑張っていられるのかしら?」
「ボスはまず百層に出てくる。それから五十刻みに出てきて、五百を超えると十刻みに変わる……前に『SEBAS』に確認した時はそういうルールになっていた」
「魔物のレベルは外とだいたい同じなのね。なら、二人のレベルからして……ボスを除けば百四十層ってところかしら? いっさい支援が無いとなると、さすがに百超えの魔物はキツイわよ」
「そういうものか? 正攻法でやったことがないから全然分からん」
レベル250の死徒だって、そのレベル以上の凶悪さを有していた。
この迷宮の場合、250層以上は何かしらの性質がレベル以上の性能を発揮する。
まあ、休人を含む全人類の成長限界は本来250であり、それを何かしらの手段で突破した者はごく僅か。
うちの家族は全員、条件を満たしているんだよな──俺とショウは星の力、ルリとマイは神の力を持っているからだ。
魔物の250と人族の250は全然違う。
鼠と竜が同じレベルだったとしても、能力値に桁違いの差があるのと同じこと。
──つまり魔物の100超えですら、人族にとっては危険な強さというわけだ。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
112
-
-
1
-
-
22804
-
-
140
-
-
103
-
-
127
-
-
381
-
-
93
-
-
124
コメント