虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

家族冒険 その03

連続更新です(07/12)
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 家族が集合したので、俺たちは噴水広場に在る転移装置を起動。
 惑星間の移動が可能になる巨大な装置なので、特定の場所にしか置かれていない。

 そして、選ぶのはもちろん──俺が救ったことになっているアイプスル。
 職業として【救星者】までくれて、本当に助かっています。

「──ようこそ、生まれ変わった新たなるアイプスルへ!」

「「「…………」」」

「うんうん、分かる分かる。父さんもちょっとだけ張り切ったからな。少しだけ世界の様子が変わっているかもしれない。けど大丈夫だ、住民たちの心の温かさは変わらずに残っているからな!」

「「「…………」」」

 おや、家族からの反応がなんだか薄い。
 まるでとんでもないものを見てしまったかのような……そう、初めてルリを見た者がよくする顔だ!

 あんまり変化はないと思うんだけどな。
 世界樹が少し光り、星の一部が訪れたときと違い、街並みもちょっとだけ手を加えた、といったぐらいの修正でしかない。

「お「父さん!」」

「……な、なんだ?」

「あなた……やりすぎじゃない?」

「んなっ、その台詞だけは聞き捨てならないからな! 俺が、ルリよりもやり過ぎなんて事実はどこにもないんだ! 家族のため、そしてこの世界の住民のためにやったこと、そこに上限なんて存在しないんだ!!」

 そう、そこに抑制するものなど無い!
 あるのは俺の想いが続く限り、何をしてもいいという許可状のみ!

 ……と言いたいこところなんだが、冷やかまでとは言わずとも、軽く引いているレベルで見てくる息子と娘を見て落ち着く。

「あなた……!」

 一人、喜んでくれている妻はさておき、劇的な改造をしてしまったようだ。
 某夢の国だってエリアごと変えてくることがあるんだし、似たようなものだろう。

 ──そういったことを伝えてみる。

「父さん、普通のサラリーマンはそんなことしないと思う」

「それに、レベルが違うから。こっちの人から見れば天変地異じゃない」

「住民と相談したうえで、誰も文句のないような改変になったはずなんだがな。ほら──頼れる『SEBAS』が居るから」

「「あっ、そうだ。なら大丈夫か(ね)」」

 さすがは『SEBAS』、すでに息子と娘の信頼を勝ち得ている!
 前回の二泊三日の小旅行で、その優秀さを知ってもらっていたからこそだろう。

「迷宮の方で『SEBAS』がセバヌスとして待機している。俺たちは迷宮へ向かい、そこで合流の予定だ。他の観光地に関しては、また後で来てくれ。ちゃんとその時間も用意するつもりだからな」

「「「はーい!」」」

 とまあ、こんな感じで世界規模の改変は扱われるのだった。
 ……うちの家族、ルリの影響で大事にも対応が緩いのである。


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