虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
休日開放戦 その08
連続更新です(02/12)
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「い、行きますよ……ほ、本当に行っちゃいますよ!」
「ええ、ええ、分かっていますよ」
「……うぅ、やりますからね!」
斥候騎士に渡してあった三つのアイテム。
ただの弱体化、行動妨害……そして、さらにえげつない能力を持った魔道具が。
「えい!」
これまでは煙を媒介にして発動するタイプの魔道具だったが、今回はシンプルにボタン一つで発動する。
『ぎゃああああああああ!』
これまでは聞こえてこなかった悲鳴が、今回初めて壁の奥にある脱出口まで響く。
騎士団たちも、この悲鳴で確実に目的地へ辿り着くことだろう。
「い、いったい何を……私は何のボタンを押させられたのですか!?」
「落ち着いてください。今回の魔道具は、予め忍び込ませていた機械に、とある命令を行わせるためのボタンです」
「機械……機国で使われている技術の産物でしたね」
「機械には、直接体内へ特殊な毒液を注射できる機構を組み込んでいまして……今回、それを使わせていただきました」
耐性スキルが働かない毒、そういう物が有るのは創作物でも定番ではないか?
体が、システムが毒と認識できないが、確実に効果が発揮するような……厄介な毒だ。
治す方法は最高級の状態異常回復薬、または専用の治療薬しか存在しない。
前者も後者も持っている俺と違い、彼らは前者しか持っていないだろう。
「最初からそれを使えば良かったのでは?」
「これだけを用いても、休人は生き永らえる術がありますので。弱らせておかなければ、彼らは彼らにしか使えない権能を用いてポーションをどこからともなく取りだします」
「えっと……『めにゅー』でしたっけ?」
「はい。教祖様と同じ権能ですが、思考が定まらなければ上手く扱えません。一つ目のアイテムが実際の状態異常を、二目のアイテムがさらにわけの分からない状態を生みだし、彼らを混乱に導きました」
思考入力と音声入力、そして指操作で操作できる[メニュー]ではあるが、そのすべてが使えないならただの人族でしかない。
……まあ、多少レベルは高いのだが、それはルリに忠誠を誓う騎士団も同じこと。
偉大なる女神様の加護……というか庇護を受け、ほぼ安全にレベリングができるし。
「──合図が来ました」
「結局、こちらまで逃げ延びた方は誰もいませんでしたか」
「やり方が慎重すぎるほどに徹底されていたからです」
「それで良かったではありませんか。彼らは教祖様の威光が届くこの地にて、悪事を働いた狼藉者……慈悲を与える必要が?」
うっ、と声を出すあたり自分でもそう思っていたのだろう。
ただ、いっさいの反撃ができないレベルでやらかしたことに不満があるのかも。
──俺は言っただけで、実行したのはすべて彼女だしな。
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「い、行きますよ……ほ、本当に行っちゃいますよ!」
「ええ、ええ、分かっていますよ」
「……うぅ、やりますからね!」
斥候騎士に渡してあった三つのアイテム。
ただの弱体化、行動妨害……そして、さらにえげつない能力を持った魔道具が。
「えい!」
これまでは煙を媒介にして発動するタイプの魔道具だったが、今回はシンプルにボタン一つで発動する。
『ぎゃああああああああ!』
これまでは聞こえてこなかった悲鳴が、今回初めて壁の奥にある脱出口まで響く。
騎士団たちも、この悲鳴で確実に目的地へ辿り着くことだろう。
「い、いったい何を……私は何のボタンを押させられたのですか!?」
「落ち着いてください。今回の魔道具は、予め忍び込ませていた機械に、とある命令を行わせるためのボタンです」
「機械……機国で使われている技術の産物でしたね」
「機械には、直接体内へ特殊な毒液を注射できる機構を組み込んでいまして……今回、それを使わせていただきました」
耐性スキルが働かない毒、そういう物が有るのは創作物でも定番ではないか?
体が、システムが毒と認識できないが、確実に効果が発揮するような……厄介な毒だ。
治す方法は最高級の状態異常回復薬、または専用の治療薬しか存在しない。
前者も後者も持っている俺と違い、彼らは前者しか持っていないだろう。
「最初からそれを使えば良かったのでは?」
「これだけを用いても、休人は生き永らえる術がありますので。弱らせておかなければ、彼らは彼らにしか使えない権能を用いてポーションをどこからともなく取りだします」
「えっと……『めにゅー』でしたっけ?」
「はい。教祖様と同じ権能ですが、思考が定まらなければ上手く扱えません。一つ目のアイテムが実際の状態異常を、二目のアイテムがさらにわけの分からない状態を生みだし、彼らを混乱に導きました」
思考入力と音声入力、そして指操作で操作できる[メニュー]ではあるが、そのすべてが使えないならただの人族でしかない。
……まあ、多少レベルは高いのだが、それはルリに忠誠を誓う騎士団も同じこと。
偉大なる女神様の加護……というか庇護を受け、ほぼ安全にレベリングができるし。
「──合図が来ました」
「結局、こちらまで逃げ延びた方は誰もいませんでしたか」
「やり方が慎重すぎるほどに徹底されていたからです」
「それで良かったではありませんか。彼らは教祖様の威光が届くこの地にて、悪事を働いた狼藉者……慈悲を与える必要が?」
うっ、と声を出すあたり自分でもそう思っていたのだろう。
ただ、いっさいの反撃ができないレベルでやらかしたことに不満があるのかも。
──俺は言っただけで、実行したのはすべて彼女だしな。
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