虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
休日開放戦 その01
「──というわけで、教祖様のご紹介によってご同行させてもらうことになりました。ツクルと申します、皆さん短い間ですがお世話になります」
『…………』
「おや、あまり受け入れられていないようですね。ええ、分かっておりますとも。しかしながら、私が居るという事実と偉大なる教祖様の役に立ちたいという想いは同じはず。どうかご同伴することをお許しください」
ルリから彼女たち騎士団へ同行する許可を貰い、集合地点へ合流した。
そこでは冷たい視線を向けられ……うん、死にながら説得を行う。
「お久しぶりです、騎士長さん」
「ええ、ツクルさん。あなたのような方が来てくださるのであれば、心強い……ですが、そうは思わない隊員が多いようで。申し訳ございません」
「いえ、お気になさらず。しかし、その原因ぐらいは知っておきたいですね。あれは……あのときの模擬戦では見たことのない方のようですが?」
「その通りです。そもそも、私たち騎士団は女性のみで構成されています。前回、ツクルさんのお力と立場を理解している者であればともかく、他の者たちにとって……」
邪魔者でしかないというわけだ。
あれだな、ばい菌だったりお邪魔虫だったり……存在を必要としていないからこそ、人はとことん蔑むことができるというアレ。
「承知していました。教祖様からも、決して簡単に受け入れられないかもしれないと。それでも、私は教祖様と約束を交わしました」
「約束……ですか?」
「これを終えたとき、しばらくは休んでいただけると。働きすぎは体に毒、それはどのような存在であれ共通の事実。教祖様にも羽を伸ばす時間が必要なのです」
「それは……そうですね。しかし、今回の討伐がなぜそこに……いえ、私たちは教祖様の指示を受けて動く騎士団。剣がそこに何故を問う必要はございませんでした」
思考停止……とは違うのだろう。
そんなことルリは許さないだろうし、彼女からはやり遂げて見せようという強い意志を感じ取れた。
「ツクルさん、先ほどの指示書には共に向かうようにとしか記されておりませんが……私たちがどこへ向かうのか、それを知っておられるのでしょうか?」
「ええ、分かっております。そのため、ポーションの準備も万端です。……あまり大きな声で言えませんが、このために教祖様より蘇生薬も授かっておりますので」
「! ……分かりました。もしものときは、お願いします」
そんな命懸けの使命だからこそ、ルリもおちおち休んでは居られなかった。
……さて、なんとしても全員で無事に帰還しないとならないな。
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