虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
パーティー勧誘 後篇
「迷宮といえば宝箱だけど、お父さんの迷宮にはそういうものって……あるの?」
「あるにはあるが……欲しい物があるなら、お父さんが作るぞ。そういうスキルだし。どういうものが欲しいんだ?」
「新しい従魔の卵を──」
「生きているモノはダメだったな。宝箱のドロップ率を調整しておくよ──百パーセントに。じゃないと……分かっているよな?」
確定ドロップをさせるということに、少しだけ罪悪感を覚えてくれたようだ。
そんな表情を浮かべた舞には悪いが、それは必要なことだから実行する。
「──瑠璃が居る以上、すべてが瑠璃中心に回るだろう。瑠璃は悪くない、ただただ確率の壁を超えるからな……うん、その顔は察してくれたみたいだな」
「そうだった……ねぇ、卵の中身はさすがにランダムにできるの?」
「宝箱を開けたらすぐに仕舞って、孵化はまた別の機会にすれば……ワンチャンかな?」
宝箱そのものは瑠璃の超絶LUCに干渉されるが、その中身の中身ともなれば……もしかしたら、影響を受けないかもしれない。
瑠璃は舞が安全に楽しんでほしいとか思っているので、もしそれが作用すると──超絶チート級の存在が、卵の中から確率の壁を超えるどころか破壊して降臨するからな。
「じゃあ、宝箱の一つをそういう仕様にしてもらおう。最後は……なんだ、瑠璃?」
「アナタのカッコいいところが見たい!」
「……そこは翔でいいんじゃないか? さっきのステータスを見たろ? 俺は基本、勝つまで粘るタイプだから、ド派手な戦い方はできないんだよ」
「いいえ、絶対に観たい!」
さっきの字が違う気がする……。
まあ、空に打ち上げたドローンから太陽光の発射というプロセスは、ある意味派手な気もするけど。
「じゃあそうだ、少なくとも俺独りじゃ絶対に勝てない相手を用意してもらおう。それをみんなで協力して倒す……それなら少しぐらい、俺にも役目が出るんじゃないか?」
「うーん……これ以上は何を言っても無駄みたいね。仕方ない、これで譲歩するわ」
「全然諦めてません、みたいな顔をしながら言われてもな。先に言っておくけど、俺を残して戦いません……とかそういうことは無しにしてくれよ?」
「…………う、うふふふふっ」
それを狙っていたようだ。
予め言っておけば、諦めてくれる。
翔と舞にもヘルプの視線を向けると、共に説得してくれたので一安心。
「──というわけで、開催は約一週間後にそれぞれの予定があったら!」
俺はそれを始める前に、一週間で準備を済ませておく予定だ。
瑠璃にはああ言ったが……カッコイイところぐらい、見せてやりたいからな。
「SF」の人気作品
書籍化作品
-
-
89
-
-
63
-
-
1359
-
-
516
-
-
755
-
-
2
-
-
23252
-
-
3
-
-
39
コメント