虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
会議作戦 前篇
「父さん、ステータス書く?」
「久しぶりに書くか……ただ、スキルまで書くと面倒だし、レベルと職業だけにしよう」
それだけなら、俺でも勝てる気がする。
全員が手書きで憶えているステータスを書いていき、終わったところで発表していく。
「じゃあ、俺から!」
バンッと机の上に置かれた翔の……いや、ショウのステータス。
それを瑠璃と舞たちと共に、さっそく見てみることに──
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ステータス
名前:テンショウ(男)
種族:【最古森人Lv160】
職業:【剣星Lv22】
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「……凄そうな名前だな。これはえっと──『エンシェントエルフ』でいいのか?」
「【最古森人】って、たしか何でもできる万能型エルフとか言われている伝説の種族だったはずなんだけど……。それに、職業の方も世界で一人しか就けないものじゃない」
「あらあら……」
舞が全部説明してくれたが、やはり相当な力を持った種族や職業のようだ。
最も古いだの、星の剣だの……うちの息子は、完全に主人公です。
「父さんがくれた剣を使ってたら、いつの間にか就けるようになってたんだよ。種族の方は、エルフたちが伝説の地って呼んでいる場所で起きるクエストを、特別な条件を満たして達成したら進化できるようになったよ」
「ちなみに、クリア条件は?」
「えっと……エルフたちの過去の英霊たちが出てきて、提示される条件をクリアすればいいって話だったんだ。俺の場合は、スキルを使わないで武器の力だけで戦って勝ってみろだったっけ?」
「……そっか」
それ以上、何も言えない。
つい最近【戦英霊】たちと戦っていたので分かるのだが、正攻法で挑もうとすれば間違いなく彼らは一騎当千の強者たちだ。
翔はそんな強者を相手に、勝利を重ねていたようだ。
しかもスキルというものは使わず、単純にアイツ自身の腕だけで。
成長したものだ……と、感心していた。
そのためだろうか、ウズウズと揺れていた瑠璃を気にする余裕がなく、そのまま質問をさせてしまう。
「はいはい、お母さんから質問! 普段はどれくらいの女の子といっしょに!?」
「そういうのって、母さんが訊くことなのかな? ……ふた──」
「ダウト! 私は見た、翔が六人の女の子といっしょに居た姿を」
「──五人だよ! ……って、あっ」
舞の情報提供によって、翔はゲーム内における女性関係の一部を暴露した。
チラリと二人を見てみれば、物凄くからかいたそうな顔をしている。
「二人とも……あんまりそういう質問で翔をいじめてやるんじゃない」
「父さん……!」
「──だから、父さんにだけこっそりと話してくれればいいんだぞ。男同士なら、話せることもあるだろう?」
「父さん……」
上げて、落とすだった。
翔には悪いが、俺としても将来の義娘を知りたかったんだよ。
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