虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ヴァルハラ その18
先日、月末の大量更新をしております
まだの方は、ぜひそちらから
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「よくぞ試練を乗り越えました。ツクル様、我らが神は大変お喜びでございます──よっと望まれし品を、お一つ選んで持ち帰るよう仰っております」
闘技場の中で、戦乙女リーダーが歓声の中そう言った。
この世界のルールである評価に囚われず、アイテムを得られるのはこれが最後の機会。
なので俺は、迷わず選ぶ──
「じゃあ……『聖核』の最上位版を貰うことにしよう。たった一つなら、それを選ぶ」
「……それでよろしいのでしょうか? 希少な武具やスキルはもちろん、我ら戦乙女もまた報酬の中に含まれるのですが?」
「武具は無くても戦える、スキルも使わずともやっていけるからな。戦乙女は……悪いが運が悪かった、俺にはどうしても聖核が必要なんだ」
「……そうでしたか。では、ツクル様にはこの後、神聖古竜の聖核が授けられます。求められる最上位の触媒として、必ずや効果を発揮することでしょう」
たしかに名前の響きから、それっぽい気がするな。
すぐに『SEBAS』が調べたところ、それで問題ないようだ。
「──改めて、ツクル様に盛大な拍手を!」
なんてことを考えている間に、俺を殺す手筈が整ったようだ。
闘技場の至る所から振動波が放たれ、その一つひとつが俺に死をもたらす。
……俺、勝者だよね?
殺され続けながら、そんな違和感を拭えない問いを意味もなく考えてしまう。
まあ、この死も俺の糧になるわけだし、ありがたく受け取ってはおくけどさ。
◆ □ ◆ □ ◆
「──こちらが神聖古竜の聖核です」
用意されたそれは、邪核とは異なりかなりの大きさの球体だった。
しかし、そこから発せられる神聖な力は神殿や教会で感じるモノと同等のもの。
間違いなく、触媒として使うに値する高級品だった。
それを奪われないように[ストレージ]の中へ仕舞うと、頭を下げる。
「ありがとうございます。お蔭さまで、目的の品を作成できる」
「私はただ、神のお言葉を賜っただけです。あとは貴男様の敵となり、槍を振るっただけで……何もしておりません」
「全力でぶつかってもらえた方が、後腐れも無いだろう? それに、神様も全力だったからこそくれたわけだし」
「……そう、ですね。では、そうだったことにしておきましょう」
目的の品を手に入れたし、もう帰ろうとしたのだが……戦乙女リーダーはそんな俺を呼び、足を止めた。
「待ってください。最後に一つ、お教えしておきたいことがございます」
「ん? まだ何かあったのか」
「はい。たしかにツクル様は目的の品を手に入れられましたが、それは神々からの贈り物です。戦いを最期まで行った報酬であり、そこに至るまでの戦いの評価はまた別のもの。これをお伝えしておきたかったのです」
「……そういうことか。教えてくれてありがとうな、最後にもう一ヶ所寄る場所ができたみたいだ」
もう何も言わず、彼女は頭を下げて俺を見送った。
……場所はすでに知っている、早く行って選ぶことにしよう。
まだの方は、ぜひそちらから
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「よくぞ試練を乗り越えました。ツクル様、我らが神は大変お喜びでございます──よっと望まれし品を、お一つ選んで持ち帰るよう仰っております」
闘技場の中で、戦乙女リーダーが歓声の中そう言った。
この世界のルールである評価に囚われず、アイテムを得られるのはこれが最後の機会。
なので俺は、迷わず選ぶ──
「じゃあ……『聖核』の最上位版を貰うことにしよう。たった一つなら、それを選ぶ」
「……それでよろしいのでしょうか? 希少な武具やスキルはもちろん、我ら戦乙女もまた報酬の中に含まれるのですが?」
「武具は無くても戦える、スキルも使わずともやっていけるからな。戦乙女は……悪いが運が悪かった、俺にはどうしても聖核が必要なんだ」
「……そうでしたか。では、ツクル様にはこの後、神聖古竜の聖核が授けられます。求められる最上位の触媒として、必ずや効果を発揮することでしょう」
たしかに名前の響きから、それっぽい気がするな。
すぐに『SEBAS』が調べたところ、それで問題ないようだ。
「──改めて、ツクル様に盛大な拍手を!」
なんてことを考えている間に、俺を殺す手筈が整ったようだ。
闘技場の至る所から振動波が放たれ、その一つひとつが俺に死をもたらす。
……俺、勝者だよね?
殺され続けながら、そんな違和感を拭えない問いを意味もなく考えてしまう。
まあ、この死も俺の糧になるわけだし、ありがたく受け取ってはおくけどさ。
◆ □ ◆ □ ◆
「──こちらが神聖古竜の聖核です」
用意されたそれは、邪核とは異なりかなりの大きさの球体だった。
しかし、そこから発せられる神聖な力は神殿や教会で感じるモノと同等のもの。
間違いなく、触媒として使うに値する高級品だった。
それを奪われないように[ストレージ]の中へ仕舞うと、頭を下げる。
「ありがとうございます。お蔭さまで、目的の品を作成できる」
「私はただ、神のお言葉を賜っただけです。あとは貴男様の敵となり、槍を振るっただけで……何もしておりません」
「全力でぶつかってもらえた方が、後腐れも無いだろう? それに、神様も全力だったからこそくれたわけだし」
「……そう、ですね。では、そうだったことにしておきましょう」
目的の品を手に入れたし、もう帰ろうとしたのだが……戦乙女リーダーはそんな俺を呼び、足を止めた。
「待ってください。最後に一つ、お教えしておきたいことがございます」
「ん? まだ何かあったのか」
「はい。たしかにツクル様は目的の品を手に入れられましたが、それは神々からの贈り物です。戦いを最期まで行った報酬であり、そこに至るまでの戦いの評価はまた別のもの。これをお伝えしておきたかったのです」
「……そういうことか。教えてくれてありがとうな、最後にもう一ヶ所寄る場所ができたみたいだ」
もう何も言わず、彼女は頭を下げて俺を見送った。
……場所はすでに知っている、早く行って選ぶことにしよう。
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