虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
ヴァルハラ その16
連続更新です(11/12)
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手袋に与えられた名前は『万製の手袋』。
効果はシンプル──右手で触れた物体を情報化してコピー。
それを左手側に刻んだ魔法陣から生成し、使用することができるというもの。
神代魔道具の劣化版、それを近接戦闘でも使えるようにカスタマイズした物がこれだ。
元が神代魔道具のため、大抵の物は複製することができる。
「──『複製』」
脳裏でイメージしたモノが、手袋の魔法陣から飛びだした。
それは先ほどまでこの場に居た戦乙女が振るっていた剣、その複製版だ。
重量があるため本来なら持てないが、体を包む結界に掛かる重力を操作することによって、いちおうは使えるようになる。
「なっ!」
「どうした、最初の戦乙女……そうだな、アインヒルドとかどうだ?」
「名前を、貴方から受け取る気はありませんから!」
「ふーん、呼びづらいから俺は呼ぶけどな」
そんなアインヒルドではあるが、使う装備は特殊以上に異常だ。
なぜなら、彼女が使うのは──
「ところでアインヒルド、どれが一番使える武器なんだ?」
「だ、だからその変な名前で呼ばないでください!」
「変なって、いい名前だと思うんだがな……とりあえずそれ、貰うぞ──『複製』」
「っ……!」
彼女は多種多様な武器を使う。
最初は弓を使っていたのだが、途中から槍に持ち替え……今は銃と短剣を使っていた。
俺は短剣に触れて解析を済ませ、即座に複製したそれで切り掛かる。
バンッと音が鳴ったと思えば、俺の体は遠くへ吹き飛ばされた……銃の効果だろうか?
残念ながら、銃を複製しても弾丸が必要な場合は撃てないということもあり、俺は短剣から複製した。
次こそは……とか思っていたが、いつまでもそうさせてはもらえない。
神託の戦乙女リーダーが、大盾と両手槍を握り締めてこちらにやって来た。
「次は貴方か……少しぐらい、楽をさせてもらえればよかったんだがな」
「そういった発言は、これまでの試練を経ても疲れ知らずである貴男には向きませんよ」
「それもそうか──『複製』」
短剣は先ほどの攻撃でどこかへ吹き飛んでしまったので、今度は槍を生成する。
それを『騎士王』の再現で振るえば、達人以上の動きで捌くことが可能だ。
「真似ではあるが、やらせてもらうぞ」
「芸もここまで達すれば、立派な武術です。それに、武の芸と書いて武芸なんですよ」
「……上手いな──っと、危ない危ない。アインヒルド、あとにしてくれないか?」
「だから、その名前を止めてください!」
遠距離に徹し、カバーをするようだ。
そんなアインヒルドに支えられ、隙を補われながら俺を攻め立てる戦乙女リーダー。
だいぶ盛り上がっている。
さっさと終わらせようと思ったが、欲を出していくつかの実験をしたのが良かったのかもしれない。
だが、そろそろ終わりにしたかった。
いったん煙幕を張ったうえで転移を使い、移動した先は上空。
すぐに翼を広げた戦乙女たちは、俺を追いかけてくる。
彼女たちは知らないが、さすがに滞空して鑓を振るうデータが無いので再現は終わり。
つまり、ここからはまた異なる戦闘スタイルで戦うわけだ。
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手袋に与えられた名前は『万製の手袋』。
効果はシンプル──右手で触れた物体を情報化してコピー。
それを左手側に刻んだ魔法陣から生成し、使用することができるというもの。
神代魔道具の劣化版、それを近接戦闘でも使えるようにカスタマイズした物がこれだ。
元が神代魔道具のため、大抵の物は複製することができる。
「──『複製』」
脳裏でイメージしたモノが、手袋の魔法陣から飛びだした。
それは先ほどまでこの場に居た戦乙女が振るっていた剣、その複製版だ。
重量があるため本来なら持てないが、体を包む結界に掛かる重力を操作することによって、いちおうは使えるようになる。
「なっ!」
「どうした、最初の戦乙女……そうだな、アインヒルドとかどうだ?」
「名前を、貴方から受け取る気はありませんから!」
「ふーん、呼びづらいから俺は呼ぶけどな」
そんなアインヒルドではあるが、使う装備は特殊以上に異常だ。
なぜなら、彼女が使うのは──
「ところでアインヒルド、どれが一番使える武器なんだ?」
「だ、だからその変な名前で呼ばないでください!」
「変なって、いい名前だと思うんだがな……とりあえずそれ、貰うぞ──『複製』」
「っ……!」
彼女は多種多様な武器を使う。
最初は弓を使っていたのだが、途中から槍に持ち替え……今は銃と短剣を使っていた。
俺は短剣に触れて解析を済ませ、即座に複製したそれで切り掛かる。
バンッと音が鳴ったと思えば、俺の体は遠くへ吹き飛ばされた……銃の効果だろうか?
残念ながら、銃を複製しても弾丸が必要な場合は撃てないということもあり、俺は短剣から複製した。
次こそは……とか思っていたが、いつまでもそうさせてはもらえない。
神託の戦乙女リーダーが、大盾と両手槍を握り締めてこちらにやって来た。
「次は貴方か……少しぐらい、楽をさせてもらえればよかったんだがな」
「そういった発言は、これまでの試練を経ても疲れ知らずである貴男には向きませんよ」
「それもそうか──『複製』」
短剣は先ほどの攻撃でどこかへ吹き飛んでしまったので、今度は槍を生成する。
それを『騎士王』の再現で振るえば、達人以上の動きで捌くことが可能だ。
「真似ではあるが、やらせてもらうぞ」
「芸もここまで達すれば、立派な武術です。それに、武の芸と書いて武芸なんですよ」
「……上手いな──っと、危ない危ない。アインヒルド、あとにしてくれないか?」
「だから、その名前を止めてください!」
遠距離に徹し、カバーをするようだ。
そんなアインヒルドに支えられ、隙を補われながら俺を攻め立てる戦乙女リーダー。
だいぶ盛り上がっている。
さっさと終わらせようと思ったが、欲を出していくつかの実験をしたのが良かったのかもしれない。
だが、そろそろ終わりにしたかった。
いったん煙幕を張ったうえで転移を使い、移動した先は上空。
すぐに翼を広げた戦乙女たちは、俺を追いかけてくる。
彼女たちは知らないが、さすがに滞空して鑓を振るうデータが無いので再現は終わり。
つまり、ここからはまた異なる戦闘スタイルで戦うわけだ。
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