虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

ヴァルハラ その07

連続更新です(02/12)
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「そう……ですか。あのお方に……」

「知っているのか? 俺は『騎士王』からの伝手で会ったんだが」

「『超越者』、『騎士王』……なるほど、そういうことですか。たしかに、あの方も生身でこの地を訪れましたね。『天死』様のことでしたら、この地ではあまりお話にならない方がいいでしょう」

「……そうしておく」

 本人と戦乙女たちで、見解が違っているみたいだな。
 彼女にとっては嫌な場所でも、その裏で何かあったに違いない。

 様付けがその証拠だ……しかし名を隠すように勧めるということは、それがこの世界における総意ではないのだろう。

「──で、俺はどういう扱いになる? 正直目的の品さえ貰えれば、別に帰ってもいいわけだが……」

「いえ、ここの決まりには従ってもらわねばなりません。彼の『騎士王』にも、既定の戦闘数をこなしてもらいました」

「はいはい、じゃあできるだけ手っ取り早くしてくれないか? 面倒だから俺の能力を教えてやる──絶対に勝つ、勝つまで続ける。それが俺の能力だからな」

「……少々お待ちください」

 突如、瞳を閉じて手を胸の前で絡める。
 すると空から光が降り注ぎ、戦乙女の頭に何らかのエネルギーが落ちていく。

「『SEBAS』、あれは?」

《神威。神力を意思の伝達に用いたタイプですね。旦那様の世界で例えるのであれば──神託です》

「──はい、はい。畏まりました。すべては偉大なる神々の意思のままに」

「なんか、嫌な予感がするな」

 その予想は当たったようで、戦乙女はこちらを向き──武器を構える。

「神託を授かりました。『超越者』……いえ『生者』様、これからこちらで決めた相手と闘い勝利した場合、貴男様の求める品を与えるとのことです」

「拒否する権利は?」

「ございますが、その場合は通常の方法で入手してもらう他ありません」

「……やるしかないと。分かった、やらせてもらおう」

 神様に何かをやらされることは慣れっこなので、今さら拒否する気も無かった。
 だが問題が一つ……周りの反応が良すぎるのだ、違和感を覚える。

 なので先ほどまで情報を教えてもらっていた男に、このことも訊いてみることに。

「なあ、ノリで承諾したんだが……これって何をやるんだ?」

「知らないでやったのか……羨ましいぜ。いいか、お前はこれから強者と戦うことになるだろう。何らかの形でお前を超えた存在、それが必ず出てくるんだ」

「自分を超えた存在ね……なるほど、だからこそお前らだったら盛り上がれるわけだ

「当たり前だろう! くぅ、いっそのこと俺と変わってくれよ!」

 そこは当然拒否して、準備を始める。
 レベルとかだったら死ぬよな……カンスト以上って、もう神様級だろうし。


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