虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
ヴァルハラ その01
グラズヘイム──『SEBAS』曰く、この地の呼び名はそういうものなんだとか。
黄金色に輝く城へ向けて歩きながら、そんな情報をくれた『SEBAS』と話す。
「ヴァルハラって、具体的にどんな場所なんだっけ?」
《この世界ではありとあらゆるものが一日で蘇生されます。それは、英霊たちだけでなく魔物たちでさえ》
「へぇ、俺泣かせの世界だな。誰でも蘇生できるなら、わざわざ持っているこの権能も使えないってことか?」
《いえ、旦那様の権能と異なり、この世界の蘇生は夕刻になるか翌日になるまで実行されません。時間制限がある分、翌日には完全にデメリットが解消されるそうです》
レベル999に達した影響で、鑑定などによって開示される世界からの情報の量が、膨大なほど増加した。
おそらくは、そこから『SEBAS』は情報を見つけ出したのだろう。
あと気になるのは……やはり、神様云々であろうか。
「なあ、ここに住んでいるのは北欧神話の神様になるんだよな? 倭島だと日本の神様の名前は聞かなかったし、これまでも記憶に瓦当する神様に会ったことはなかった」
《冥界同様、神々にも多様性があるとのことです。始まりは他世界の情報が、その後はこの世界の者たちに委ねられ……無数の神族が誕生しました》
「? つまり、『騎士王』とかヴァルハラみたいな単語は地球と同じだけど、少しずつこの世界オリジナルの単語や存在が誕生したわけか。まあ、同じ単語があっても異なる使い方をするってのは……王道だしな」
とまあ、話をしていると少しずつ宮殿風の城が近づいてきた。
内部では激しい戦闘音が鳴り響いており、とても近づきがたい雰囲気が漂っている。
「いろいろといっぱいあるよな。うん、一言で纏めると不思議屋敷?」
《伝承によると──540の扉、槍の壁、楯の屋根、鎧に覆われた長椅子などが存在するようです。また……狼や鷲なども》
「あっ、うん。それはよく分かる」
脳内で鳴らされた警鐘が、現在俺に近づいてくる二体の魔物の存在を示していた。
やがてそれは扉の前に立ちはだかり、俺に唸り声をあげている。
「本来の用途はともかく、今回は外部からの客を歓迎してくれているってことか」
《いかがなされますか?》
「そうなんだよな……やり方によっては、だいぶ揉めるはずだ。『SEBAS』、今回も悪いがバレづらい戦い方を提供してはくれないか? まんまやったらダメになりそうだ」
《畏まりました》
見つけだした死亡レーダーは、目の前の魔物以外の反応も見つけだしていた。
……上手く立ち回らないと、この後の戦いが面倒になりそうだ。
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