虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
冥界狩り その07
「ドロップアイテムはどういう風に回収すればいいんだ?」
《邪と聖に属するものたちの部位であれば、どこでも構いません。ただ、今回は霊体から邪霊となったものですので……もともと求めていた、邪核を使うのがよろしいかと》
「流れ的に、魔核の邪属性版って感じだな。消える前にさっさと回収しようか」
基本的にEHOでは、時間が経てば死骸はどこかに粒子みたいに消えていく。
だが対応するスキルやそれを持つ魔道具を所持していれば、その例外となる。
「ちなみに、モルメスもその一つだぞ」
魂すら切れるメスに、解体機能を付けないはずがないだろう。
そこに『SEBAS』の知識が加わり、人型の邪霊だろうと綺麗に解体できた。
「……うん、だいぶ猟奇的だな。けど、アイテムごとにバッチリだ」
《解体を使わずともアイテムを得ることはできたでしょうが、やはり魔物……いいえ、魔力を保有した存在の素材を多く得るために、解体は最適な方法ですので》
「買える物は買っているけど、やっぱり貴重な素材は探しにいかないと無理だもんな。後は……聖属性だな」
聖なる存在、さすがにこちらと同じ条件のヤツを倒すのは難しい。
人であれば聖人だろうし、霊体だって聖杯の戦争に出てきそうな存在っぽいし。
「となると、一つ心当たりがあったな」
《──天上世界。『天死』という『超越者』の存在が確認されています》
「そう、それ。死徒と戦いまくったから、いちおう飛行ユニットに対する称号もいくつかあるわけだし。それをセットしてから行ってみれば、それなりに持つんじゃないか?」
《上空の世界は、旦那様のゲーム知識でたとえれば終盤やクリア後に訪れる場所。この地下世界同様、相応の戦闘能力を要します》
なお、ここでレベルと言わないのは全然強くない俺への配慮だろう。
どれだけ経験を積もうと、弱者はどこまで逝っても弱者でしかないわけだ。
◆ □ ◆ □ ◆
宮殿に戻ってきた俺は、今回収穫したアイテムの一部を提出しに来た。
ここは『冥王』の領地のようなものなのだから、やっておかないと後が面倒臭い。
「……ねぇ、本当に倒したの?」
「それが今回求めていた品だから、提出はできないけどな。代わりに、殺っちまった霊体の核の大半は提出したぞ」
「にしても、ずいぶんな量。『生者』は本当に弱いけど強いわ」
「分かっていると思うが、霊体が奪うほど力がないのが俺だからな。逆に、唯一奪えるモノはデカ過ぎて不可能だ。ある意味、あそこは俺にとって絶好の狩場ってわけだ」
なんてことを言った後、俺は冥界を去る。
次は天上に向かうわけだが……はてさて、どうやって行けばいいんだか。
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