虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―
不死鳥 前篇
神族の血を獲得したが、なぜか複製できないようだ。
まあ、単純に魔力が足りないのが主な理由らしいが、他にもいろんな理由がある……と『SEBAS』が教えてくれた。
《高位の存在は神代の魔道具を用いても、干渉が難しいのでしょう。特に、おそらくその血は創造神の代物……最上位と思われる血ですので、複製できなかったのかと》
神代、それがどんな時代だったのかも今では『SEBAS』が理解している。
それによると、神と人が共存していたとかそんな時代だったらしい。
なので、複製できないってことで。
俺としては少し残念ではあるが、ありふれていても困る貴重品なので諦められよう。
残るは『不死鳥の死焔』と『聖邪の毒薬』という、アイテムのみ。
後者はともかく、前者はどこで手に入れられるのかなんとなく分かるな。
「……というわけで、分からないか?」
《不死鳥の死焔は、不死鳥が死ぬ際に発動する焔です。ただし、それは能力発動によってすべて消費されます》
「なるほど、つまり不死に必要な炎を奪わないとダメってことか。蘇生薬、使えばどうにかならないか?」
《試した事例がございませんが、おそらくは可能かと》
あっ、それなら大丈夫そうだな。
それに、もしダメだったならダメだったでちゃんと供養はするさ……『SEBAS』がきっと、いいアイデアを生んでくれる。
◆ □ ◆ □ ◆
S9W6 孤島
かつて、俺が漂流した島にやって来た。
なぜならここに、目的の存在が居ることをすでに知っていたからだ。
「死んでも火山の熱で蘇るから、その間に移動したけど……今回は回収までしないとな」
あの頃よりも豊富なアイテムを揃えているので、倒すこと自体は簡単だと思う。
問題は、死焔というアイテムの回収方法が未だに判明していないことだな。
じゃあ、過去の人たちはどうやって作っていたのやらと思うが……神代でしか取られておらず、そのストックだけで『運天の改華』が作られていたんだとか。
「前に行ったから、座標だけは分かっているしな──『SEBAS』」
《準備はよろしいでしょうか?》
「わざわざ浜辺に送ってもらったんだ、二度目はちゃんと準備をするさ。じゃあ、さっそく頼むぞ」
《畏まりました──転位を実行します》
視界がブレて切り替わると、そこは孤島に唯一存在する巨大な火山の頂上に達する。
前回同様、噴火はしないが内部でマグマが沸々と煮えたぎる火山だ。
「……来たな、不死鳥」
すでに準備はバッチリ、とりあえず一回殺すところから始める。
……何回か試せば、いつか回収できるか。
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