虚弱生産士は今日も死ぬ ―小さな望みは世界を救いました―

山田 武

金色の液体



「──こんな感じだった……かな?」

 記憶からどうにか思いだした女神様を、どうにか彫りだした。
 ……女神様を思いだそうとするもんで、ついルリのことを思いだして大変だったよ。

 だがそれでも、『SEBAS』に用意してもらった過去の俺がテンションを上げて作ったという、エナジードリンクっぽい物を飲んだらなぜか思いだせた……逆に怖い。

 女子高生ぐらいの背丈をした、七色に輝く髪と瞳を持つ女神様。
 完成したその神像とショタの創造神様を拝み、祈りを捧げる。

「けど……何の神様なんだろうな? たぶんだけど、伏字なのは神様としての担当じゃないみたいだし」

 最後が仮に『神』だとして、三文字もするような何かの現象ってわけでもないだろう。
 というか、それならさっきのアレで一文字くらい解除されるはずだし。

「まあ、それはいいや……まずは、二柱の神様にお供え物をしないと」

 神様が喜ぶ物は分からないが、とりあえず神話とかに出てきそうな物を並べてみる。
 神の酒とか神の食べ物とか、人にとっての万能薬ってそういう物だしな。

「じゃあ改めて……神様、必要なので神族の血が欲しいです。すぐにとは言いません、一週間以内にご用意できないでしょうか?」

 ヘコヘコと頭を下げて願い奉る。
 そう、神族の血ならこうすれば手に入るかなーと思ってここに来たのだ。

 すると、俺の言葉に応えるようになぜか部屋の天井から光が降り注ぐ……おかしいな、天井は普通に木で覆っているんだが。

「……ん? これは、試験管だよな?」

 中身は金色な液体、だいたい察してはいるが確信は持てない。
 鑑定スキルを使ってはみるが、レア度的な問題で情報はサッパリ出てこなかった。

《──旦那様、これこそが神族の血です》

 しかし、『SEBAS』はこれこそが目的の品だと見抜いてくれたようだ。
 ……そういえば、そこはかとなく漂う高貴な感じが神様っぽい気がするなー(適当)。

「トレードが成立したってことか?」

《いえ、あちらをご覧ください……創造神の神像の下です》

「文字だな……読めないけど」

 共通語と呼ばれる一般的に使われている字は、スキルを持たない休人でも読める。
 だが、それ以外の言語は対応するスキルが無ければ読むことができない。

 しかしまあ、問題は解決済み──翻訳してくれるサングラスを取りだして装着する。

「えっと、何々……『今回だけのトレードだよ。あと、これまで会った神の像も彫ってほしいな』と。いや、別にいいんだけどさ」

 ただ、イメージが必要なんだよな……ちょうど今はテンションも高いし、そのままのノリで彫ってみますか!


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