虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―
新たな神像
神族の血とやらに、心当たりが無いわけでもなかった。
そんなこんなで訪れたのは、だいぶ前から寄付を続けていた孤児院。
「あっ、おっちゃん! 久しぶり!」
「……ええ、お久しぶりです。最近はどうですか、楽しいですか?」
「ああ、おっちゃんのお蔭でここもずいぶんと綺麗になったからな! 俺たちも今は、新米冒険者として頑張ってるぜ!」
「そうでしたか。では、今回はお金だけでなく勇敢な冒険者さんたちに贈り物をすることにしましょう」
装備なんかを渡して、不相応な冒険をした結果死亡……なんてことになるのはゴメンこうむるので、新作の自動ポーションである。
持ち主の生命反応が著しく低下したとき、勝手に瓶が割れて体に回復ポーションを染み渡らせてくれるという一品だ。
背に腹は代えられない、そんな緊急時にしか使いどころはないが……肌身離さず持っておくべき応急品として絶賛発売中!
「──というわけです。君たちは、できるだけこれを使わない場所で冒険してもらいたいですけど……できませんよね?」
「当たり前だろ、おっちゃん。むしろ、おっちゃんが儲けられるように俺たちでしっかり使うからさ!」
「嬉しいですが、あまり喜べることではありません──そうですよね、神父様?」
「げっ!」
少年の背後には、ゴゴゴゴッとオーラを纏う神父様がスタンバイ!
しばらく長くなりそうなので、自然な形で俺はこの場から離れる。
「お、おっちゃんズルいぞ!」
「神父様、ここはお願いします……私は神像の方に用がありまして」
「分かっております。できれば、綺麗にしてあげてほしいのですが……」
「はい、お任せください」
恨めしい目をする少年に、同情するような眼差しを向けてからこの場を去る。
遠くで誰かに文句を付ける声が聞こえたわけだが……俺、まだ二十代だから関係ない。
◆ □ ◆ □ ◆
「──よし、こんなものか」
自分で彫ったショタな感じの神像。
その細やかな部分まで、:DIY:を用いて綺麗に磨いていく。
いつもお世話になっている(と思われる)神様なので、そういう感謝の意を籠めて必死に掃除して──ピカピカにする。
「ありがとうございます、創造神様」
≪祝福(■■■の注目)は(創造神の注目)に変化しました
祝福(◆◆◆◆の加護)は(◆◆◆◆の祝福)に変化しました≫
「……ん?」
突如入った連絡に、思わず首を傾げた。
前者はまあなんとなく分かるが……あの女神様、もしかして──
「分かりました、お任せください──もう一度発動、:DIY:!」
《:DIY:が起動されました
使用者『ツクル』の指定能力値──概念崩壊……成功しました
アイテムの作成成功後、または条件無視によって解除されます》
起動を確認後、創造神様の神像を彫った物と同じ材質の石を創造する。
これで準備は万端、あの思い出の姿……は思いだせないので、可能な限り頑張ろう。
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